絵とことばをテーマに掲げるPLAY! MUSEUM。
その最新作なる展覧会が、“どうぶつかいぎ展”。
ドイツの作家エーリヒ・ケストナーが、
盟友ヴァルター・トリアーとタッグを組んで、
1949年に発表した名作絵本 『どうぶつ会議』 をテーマにした展覧会です。
なお、『どうぶつ会議』 の内容をざっとまとめると、以下のようになります。
時は、第二次世界大戦後。
世界平和のために、国際会議がひらかれます。
ところが、会議は踊る、されど進まず。
そんな人間たちの姿を見て動物たちは怒り心頭。
動物会館に集まり、動物会議をひらこうと決心したのでした。
今展では、これまでのPLAY! MUSEUMの展覧会同様に、
カナダのオンタリオ美術館が所蔵する絵本の原画も紹介されています。
(注:本来は原画が来日する予定だったそうですが、コロナのため精巧に作られた複製原画が来日しています)
が、しかし!
今展の見どころは、絵本の原画だけではありません。
今展は、PLAY! MUSEUM初となる現代アート展。
それも、現代アートのグループ展。
『どうぶつ会議』 の物語を8つの場面に分け、
8人のアーティストがそれぞれのパートを担当するというものです。
アーティストによって、作風はバラバラ。
ぬいぐるみ作家の梅津恭子さんによる動物のぬいぐるみもあれば、
映像作家・菱川勢一さんによりインスタレーション作品、
今年大規模な個展も控える人気絵本作家ヨシタケシンスケさんの描きおろしイラストもあります。
8人のアーティストは、作風こそバラバラですが、
不思議と調和しており、違和感なくまとまっていました。
『どうぶつ会議』 に登場する人間たちとは大違いです。
ちなみに。
出展作家の中には、人気現代アーティスト鴻池朋子さんも。
鴻池さんらしい作品の数々に混ざって、
鴻池さんらしからぬこんな新作も展示されていました。
・・・・・・・お食事中の方、大変申し訳ございません。
これらは、動物のう〇こをモチーフにした作品だそうです。
もちろん本物ではなく、精巧に作られた複製う〇こ。
大人はそうでもないでしょうが、
子どもならテンションが上がるかもしれない作品です。
その他で特に印象に残っているのが、動物ビルをモチーフにした作品。
造形作家・上田楽 (ひらく) さんによって、
製作されたたくさんの動物がビルの中にいます。
紙粘土製?はたまた、ソフビ製?
かと思いきや、なんとこれらの動物は、
紙とセロハンテープだけで作られているそうです。
そうとわかった上でマジマジと観てみても、
紙とセロハンテープで出来ているとは思えないほどのクオリティ。
上田さんの作品を目の当たりにしたら、
ノッポさんやワクワクさんは、現役引退を決意するかもしれません。
それからもう一人、印象に残っているのが、
イラストレーターの秦直也さんによる作品群です。
今回、秦さんは、「伝達」 をテーマに、
さまざまな動物のイラストを制作しています。
どのイラストもクスっとできるユーモアがあり、
どの動物もあざといくらいに可愛かったです。
特に印象深かったのが、オオカミをモチーフにしたイラスト。
焚火をしているのかと一瞬思いましたが。
テーマは、通信。焚火ではなさそうです。
では、何なんだろう・・・・・と、考えることしばし。
あっ、のろしだ!と、ようやく答えに辿り着きました。
のろしは漢字で書くと、狼煙。
なるほど。それでオオカミなのですね。