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フェルメールと17世紀オランダ絵画展

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一時は開催すら危ぶまれていた、

 ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展”

先日2月10日に、東京都美術館にて無事に開幕いたしました。

関係者の皆様、おめでとうございます。そして、お疲れさまでした!

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

展覧会の目玉はもちろん、フェルメールの 《窓辺で手紙を読む女》

実はこの絵、2005年にも来日しているのですが、

その時の姿とは、決定的に違っている点があります。

こちらが、以前に来日した際の 《窓辺で手紙を読む女》 の姿。

 

ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女》(修復前) 1657-59年  ドレスデン国立古典絵画館
© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Herbert Boswank (2015)

 

 

そして、こちらが今回来日した際の 《窓辺で手紙を読む女》 の姿。

 

ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女》(修復後) 1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館
© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Wolfgang Kreische

 

 

比べてみると、一目瞭然。

壁にキューピッドの絵が掛けられています。

一体、何が起きたのでしょう??

 

実は以前より、X線調査によって、女性の背後の壁に、

キューピッドの画中画が隠されていることはわかっていました。

当然、それはフェルメール本人によって、

上塗りされたのだろうと、長年考えられていたのです。

ところが、2017年に改めて調査をしたところ、

フェルメールが死んでずっと後に、上塗りされたことが判明!

フェルメールが描いた元の姿に戻すべく、4年に及ぶ修復作業が行われ、

昨年めでたく、所蔵館であるドレスデン国立古典絵画館にてお披露目されました。

そして、今年、日本で世界初公開されているのです。

 

ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女》(修復後) 1657-59年頃

 

 

現存する作品が少なく、フェルメールの真作は35点ともいわれていますが。

今回蘇ったキューピッドの絵は間違いなく、フェルメールの手によるもの。

ある意味、真作が1点増えたようなものです!

 

そういう意味では、修復後の姿を拝見できて、

とても感慨深く、心が大きく震わされたのですが。

個人的な率直な感想としては、

「キューピッドの絵は無くてもよいかな・・・」 でした (笑)

女性に対して、キューピッドがデカすぎじゃね?!

しかも、このキューピッドは仮面を踏みつけています。

何でまたこんな絵を飾っているのか?

修復前は、女性が読んでいる手紙は、

どんな内容なのだろうか、と、感情移入できましたが。

修復後は、デカキューピッドが気になりすぎて、

手紙の内容が、まったく入ってこなくなりました。

ちなみに、キューピッドの絵ばかりに目がいってしまいますが、

今回の修復によりニスの汚れも取り除かれて、壁の色が真っ白になっています。

壁のヤニ汚れが取れて、スッキリしたような印象。

全体的に明るい色合いになりました。

その点においては修復後の姿のが良いような。

修復前と修復後、どちらの姿が好きかは、

人によって好みが分かれるかもしれませんが。

何はともあれ、世紀の大修復の直後に、

日本でその実物が観られるというのは奇跡!

この貴重な機会を見逃したら、一生後悔するでしょう。

星星星

 

 

ちなみに。

展覧会には、《窓辺で手紙を読む女》 以外にも、

レンブラントが妻をモデルに描いた 《若きサスキアの肖像》 や、

 

レンブラント・ファン・レイン 《若きサスキアの肖像》 1633年 ドレスデン国立古典絵画館 
© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Elke Estel/Hans-Peter Klut

 

 

風景画の巨匠ヤーコプ・ファン・ライスダールの 《城山の前の滝》 をはじめ、

 

ヤーコプ・ファン・ライスダール 《城山の前の滝》 1665-70年頃 ドレスデン国立古典絵画館 
© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Elke Estel

 

 

17世紀オランダ絵画の名品約70点も来日しています。

決して、フェルメール1点豪華主義な展覧会に非ず!

フェルメール以外の作品も大いに見ごたえがあります。

 

 

 

数ある作品の中で、個人的に印象に残っているのは、

ヤン・ファン・ホイエンの 《冬の川景色》 という一枚です。

 

 

 

絵の内容というよりも、解説にあった来歴にビックリ。

なんでもこの絵は、第二次世界大戦後、

とある古物商のもとにあったそうなのですが。

価値をよくわかっていなかった未亡人が、

この楕円形の絵を、浴槽の蓋として使っていたのだとか。

いくら絵の価値がわからなくても、

これが浴槽の蓋でないことくらいはわかるだろ!

よっぽど浴槽とジャストサイズだったのかも。

ただ、横幅約90㎝。

相当小さな浴槽ですよね。

 

 

それからもう一点インパクトがあったのが、

バルトロメウス・ファン・デル・ヘルストの 《緑のカーテンから顔を出す女》 です。

 

 

 

「良かったら、一緒にカーテンに包まらない?」

そう誘っているように見えます。

もしくは、試着室のカーテンをいきなり開けてくる女性店員。

 

 

 ┃会期:2022年2月10日(木)~4月3日(日) ※日時指定予約制

 ┃会場:東京都美術館

 ┃https://www.dresden-vermeer.jp/

 ┃問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)





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