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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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出版120周年 ピーターラビット™展

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世界一愛されているウサギ、ピーターラビット™。

そのシリーズ第一作 『ピーターラビットのおはなし』 が、

フレデリック・ウォーン社から刊行されたのは、1902年のこと。

つまり今年2022年は、出版120周年のメモリアルイヤーです。

それを記念して、現在、世田谷美術館では、

“出版120周年 ピーターラビット™展” が開催されています。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 


展覧会の冒頭で紹介されていたのは、

ピーターラビットの生みの親ビアトリクス・ポター™について。

 

 

 

ロンドンの裕福な家庭に生まれたポター。

その母親はとても厳しく、

当時、細菌感染が流行っていたこともあり、

同じ年頃の友達と付き合うことを許しませんでした。
独りぼっちだった幼いポターは、ネズミやコウモリなどを、

母に内緒で部屋に持ち込んでは観察し、スケッチをしていたそうです。

(むしろ、そっちのほうが細菌が心配な気がしますが・・・)
ともあれ、そんな動物たちとの日々がなければ、

リアルな描写のピーターラビットは生まれなかったのかもしれません。

ビアトリクス・ポター 《庭の野ウサギ》 1892年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(リンダー・コレクションからの寄贈) 

Courtesy of The Victoria and Albert Museum and Frederick Warne & Co.

 

 

そんな彼女が、ピーターラビットを生み出したのは、27歳の時。

ポターがかつて教わった家庭教師の息子ノエル君 (5歳) が、病気に。
そこで、ノエル君を励ますために、絵手紙を送ることにしました。

その絵手紙に描かれていたのが、

いたずら好きなウサギ、ピーターのお話です。

ビアトリクス・ポター 《ノエル・ムーア宛ての絵手紙》 1893年 ピアーソン PLC © Victoria & Albert Museum, London, 2015

 

 

展覧会には、この絵手紙が出展されていました。

 

 

 

そんな貴重な絵手紙が、日本にあるわけがない。
当然、複製だろうと思い込んでいましたが、どうやら実物だそうです。

本展のために、なんと初来日しています。

 

さらに、こんな貴重なものも初来日していました。

 

 

 

ポターが描いた 『ピーターラビットのおはなし』 の彩色画です。

1点来日しているだけでも、ファンにはたまらないでしょうが。

 

 

 

本展には、な、な、なんと全点来日しています。

しかも、日本語版の絵本では掲載されなかった挿絵の原画まで!

なお、これらの彩色画の中には、

作風的に、ちょっと違和感を覚えるものがいくつか・・・。

 

 

 

実は、それらの元となった原画は行方不明となっており、

2010年にヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で開催された展覧会のために、

フレデリック・ウォーン社が再制作させたものが、代わりに展示されています。

おそらく、ちゃんとしたプロが描いているのでしょうが、

ポターが描いた本家の 『ピーターラビット』 と比べてしまうと・・・・・。

青山剛昌でない漫画家が描いた名探偵コナンくらいの違和感があります。

 

ただ、逆に、これらの再制作の彩色画があったことで。

改めて、ポターの画家としての非凡な才能を実感することができました。

ビアトリクス・ポター 《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 

© Frederick Warne & Co. Ltd, 2017

 

 

単に挿絵というレベルを超えて、

1枚の絵画作品として成立しています。

絵本だと、ぱらぱらとページをめくってしまうので、

絵の隅々までしっかりと鑑賞したことはなかったですが。

実物は細部にまでこだわって描かれているため、

いくら観ていても見飽きるということはありませんでした。

しかも、120年前に描かれた水彩画とは思えないくらいに色が鮮やか。

 

修復されたばかりのフェルメール作品が来日していたり、

メトロポリタン美術館の名品やポンペイの遺跡の出土品が来日していたり。

今、貴重な美術品があまりに都内に来日しているため、完全にノーマークでしたが (汗)

これ絶対に行くべきやつ!

見逃すと後悔する展覧会です。

星星

 

 

ちなみに。

会場には、思わず写真を撮りたくなるフォトスポットも用意されています。

 

 

 

個人的にオススメなのが、こちらのフォトスポット。

 

 

 

よく見ると、木戸の下にピーターラビットのお尻がありました!

しかも、こいつ・・・動くぞ!!

 

 

 

また、展覧会では、原画以外も、、

『ピーターラビット』 の関する貴重なアイテムが多数紹介されています。

 

 

 

それらの中には、『ピーターラビット』 の翻訳が、

初めて掲載された雑誌 『日本農業雑誌』 第2巻第3号 (1906年) も。

 

 

 

なお、その隣に展示されていたのは、

1915年に刊行された児童雑誌の 『幼年の友』。

そこには、ピーターラビットではなく、

『ピータロー兎』 という名で翻訳された物語が掲載されていました。

 

「昔 アルトコロニ、太郎 二郎 三郎 ピータ郎トイフ、四ヒキノ兎ガ、
 砂山ノ大キナ 松ノ木ノ ネモトニ オ母サント イツショニ 住ンデ井マシタ」


太郎、二郎、三郎と続いて、いきなりピータ郎って!

そこは、普通、四郎だろ!
腹違いの子どもなんか!!

 

 

 

 ┃会期:2022年3月26日(土)~2022年6月19日(日) ※土日祝は日時指定予約制

 ┃会場:世田谷美術館

 ┃https://peter120.exhibit.jp

 

 

~読者の皆様へのプレゼント~
“ピーターラビット™展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、4月8日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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