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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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生誕110周年 奥田元宋と日展の巨匠

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今年2022年は、戦後の日本画壇を牽引した画家、

奥田元宋 (1912~2003) の生誕110周年というメモリアルイヤー。

それを記念して、現在、山種美術館では、

“生誕110周年 奥田元宋と日展の巨匠” が開催されています。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
 

奥田元宋といえば、赤。

赤と言えば、奥田元宋。

 

「元宋の赤」 とも称される赤を基調に、

どこか幻想的な空気を漂わせた風景画を多く残した人物です。

今回の展覧会でも、「元宋の赤」 をたっぷりと堪能することができます。

「元宋の赤」 で描かれた作品はもちろんのこと、

 

奥田元宋 《玄溟》 1974(昭和49)年 紙本・彩色 山種美術館

 

 

 

「元宋の赤」 の素となった元宋が実際に使用していた絵具も展示されています。

 

 

 

また、今展の見どころは何といっても、個人蔵の 《奥入瀬(春)》 と、

山種美術館が所蔵する元宋の代表作 《奥入瀬(秋)》 との同時公開です!

 

 

 

この2点が合わせて展示されるのは、実に10年ぶりとのこと。

甲乙つけがたいほど、どちらも素晴らしい作品です。

どちらも大画面で見るAQUOSのCMのよう (←?)。

じーっと眺めていると、まるで川が実際に流れているような、不思議な感覚に陥ります。

さらにもう少しじーっと眺めていると、

画面内に吉永小百合が現れるような気がしてきました (←??)。

星星

 

 

ちなみに。

 

 

 

《奥入瀬(春)》 の隣に展示されていたのは、

望月春江という画家による 《趁春》 という作品。

第9回帝展で見事特選に輝いた作品です。

修復後初公開となるそうで、展示は実に20年なのだとか。

描かれているのは、伊豆大島で出逢ったという1本の椿の木。

離れて観る際には、なかなか気が付けないのですが、

近づいて観てみると、スズメが何羽も描き込まれています。

それも、椿の花よりも多く。

椿よりもスズメが主役の作品です。

 

 

なお、不勉強ながら、望月春江なる画家を初めて知ったのですが。

元宋の活躍の場であった日本美術展覧会、

通称、日展の画家たちをフィーチャーした今展には、

他にも “はじめまして” な画家が多数紹介されていました。

(もちろん、福田平八郎や東山魁夷といった国民的画家の作品も紹介されています)

 

野島青茲も “はじめまして” な画家の一人。

静岡出身で、女性像を特に得意とした画家だそうです。

 

 

 

今展には、野島青茲による 《麗衣》 (写真右) が出展されていました。

モデルは、当時の駐日インド大使夫人であったグーハー女史とのこと。

まるで、隣の橋本明治作 《月庭》 内の舞妓2人が、

グーハー女史の美しさについて、噂を交わしているようです。

 

 

また、今展では、奥田元宋の師匠で、

遠縁にあたる日本画家・児玉希望の作品も出展されています。

 

 

 

元宋が後年語ったところによると、

師匠である児玉希望には、たびたび驚かされたとのこと。

中でも一番驚いたエピソードが、

画家を目指し、故郷の広島から上京する際に、

電車や車は使わず、徒歩だったというもの。

何その格闘家みたいなエピソード?!

 

ちなみに。

児玉希望の教えは、「師匠の画風を真似るな」 というものだったそう。

とはいえ、師匠らしいことを全くしないということはなく。

元宋に、『成珠』 という雅号を与えたそうです。

ただ、元宋は、中国の宋元絵画に憧れがあったそうで、

本名の 嚴三(げんぞう) にちなんで、自ら 『元宋』 を名乗るようになったのだとか。

師匠の希望、実らず!





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