現在、WHAT MUSEUMで開催されているのは、
“「Mariage −骨董から現代アート−」展” という展覧会です。
2020年の開館以来、精神科医の高橋龍太郎さんや、
国際芸術祭 「あいち2022」 の組織委員会会長で大林組会長の大林剛郎さんなど、
そうそうたる現代アートコレクターのプライベートコレクションを紹介してきたWHAT MUSEUM。
今展では、ファッションビジネスに長年携わってきた,
桶田俊二・聖子夫妻によって収集されたアートコレクションを紹介しています。
桶田俊二・聖子夫妻による美術コレクション。
通称、OKETA COLLECTIONを紹介する展覧会は、
これまで表参道のスパイラルで定期的に開催されてきましたが。
“「Mariage −骨董から現代アート−」展” と題された今展の最大の特徴は、
「骨董から現代アートへ」 と副題にあるように、現代アートだけでなく骨董も展示されていること。
今でこそ、現代アートのコレクターとして、
その界隈に、名を轟かす桶田ご夫妻ですが。
もともと美術に興味を持ち始めた頃は古美術に関心があり、
李朝の陶磁器や竹細工など、そちらを中心に集めていたのだそう。
そこから手を広げて、北大路魯山人を筆頭に、
河井寛次郎や岡部嶺男といった戦後陶芸界のレジェンドの作品も集めていました。
そんなご夫妻に転機が訪れたのは、約10年前のこと。
草間彌生さんのドキュメンタリー番組を、
たまたまテレビで観ていて、その姿勢に感銘を受けたとのこと。
それを機に、草間彌生さんの作品を集めるようになり、
さらに、現代アーティストの作品を積極的に収集するようになったのだそうです。
(注:今展には草間彌生さんの作品は出展されておりません)
今展では、桶田ご夫妻の骨董のコレクションと、
現代アートのコレクションとを、初めて併せて公開しています。
まさに、Mariage (マリアージュ)!
普通に考えたら、出逢うはずのない作品同士が、
桶田ご夫妻の手に渡ったことで、奇跡の競演を果たしています。
これぞコレクションの妙ですね。
さてさて、今を時めく五木田智央さんや、
ラシッド・ジョンソンの作品もありましたが。
今展の目玉の一つは、何といっても、
名和晃平さんの 《PixCell-Deer#48》 でしょう。
名和さん率いるクリエイティブ・プラットホーム、
SANDWICH自らが、今展のために展示空間を手掛けたとのこと。
これまで幾度となく、名和さんのこのシリーズ作品を目にしてきましたが。
今回の展示が断トツ素晴らしかったです。
それから、近年日本でも人気急上昇中の、
NY在住のダニエル・アーシャムの作品もありました。
彼の作品のコンセプトは、「Fictional Archeology」。
直訳すると、「フィクションとしての考古学」 です。
ミッキーマウスやポケモンといった現代のキャラクターを、
まるで遠い未来の人々によって発掘された化石や遺物のような姿にするダニエル。
今展で紹介されていた 《Pyrite Eroded Rabbit》 は、
『ルーニー・テューンズ』 のバッグス・バニーを化石化した作品でした。
ミッキーマウスやポケモンと違って、
バッグス・バニーはアニメ本編でこんなシーンがありそうな。
それゆえ、彼の他の作品と比べると、そこまで違和感はなかったです。
ちなみに、ウサギ繋がりで。
今展の出展作品の中で一番のお気に入りは、
クララ・クリスタローヴァの 《Rabbit reting》 です。
「クララが立った!」 ならぬ 「クララがダレた!」。
圧倒的脱力感。
ぐでたまよりも、ぐでっとしていました。