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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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建築模型展―文化と思考の変遷―

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現在、“Mariage展”が絶賛開催中のWHAT MUSEUMでは、

“建築模型展―文化と思考の変遷―”という展覧会が同時開催されています。

建築を作る上で欠かすことのできない建築模型にスポットを当てた展覧会です。

 

 

 

今でこそ、現代アートコレクターのプライベートコレクションを、

広く一般に公開する美術館として活動しているWHAT MUSEUMですが。

その前身は、日本初となる建築模型専門のミュージアム、建築倉庫ミュージアムでした。

そういう意味では、まさに原点回帰ともいうべき展覧会です。

星

 

 

とはいえ、今回出展されている建築模型は、

WHAT MUSEUMを運営する寺田倉庫に寄託されているものではなく。

今展のために、日本中から集結したものばかりです。

 

 

 

それらの中には、今なお建築界では語り草となっている、

磯崎新さんによる幻の「東京都新都庁舎計画」の断面模型や、

 

 

 

今から100年以上前に作られた分離派建築会の瀧澤眞弓による「山の家」の模型、

 

 

 

 

さらには、隈研吾さんの初期の作品「伊豆の風呂小屋」(共同設計:篠原聡子)の模型も。

 

 

 

ちなみに。

「伊豆の風呂小屋」の模型は、

今展のために、再制作されたものとのこと。

建築模型は必ずしも、これから建てる建築をイメージして作るわけでなく、

実際に建てられた建築を記録として残すためにも作られることもあるのですね。

 

史上最強の素人建築家・藤森照信さんによる《ワニ》もまさしくそうして作られた建築模型。 

 

 

 

藤森さんが過去に、《ワニ》という名の建築を作ったわけではなく。

これまでに作った「神長官守矢資料館」や「タンポポハウス」、

「ニラハウス」「浜松市秋野不矩美術館」を並列させたものとのこと。

 

 

 

それも、スケールやプロポーションは一切無視で。

藤森さん自身が、チェーンソーとミノを使い、思いのままに制作したものなのだそう。

出来上がりのその見た目が、ワニに似ていることから、《ワニ》なのだとか。

この《ワニ》の存在のせいで、そもそも建築模型とは何なのか。

向き合えば向き合うほど、一体何を見せられているのか、段々不安になってきました。

ワニワニパニック。

 

 

また、出展されていた建築模型の中で、もっとも圧倒されたのが、

SANAA(妹島和世+西沢立衛)による「Rolex Learning Center, EPFL」の模型です。

 

 

 

「Rolex Learning Center, EPFL」とは、2009年に、

スイス連邦工科大学ローザンヌ校のキャンパス内に建てられた学習センター。

ワンルームの平屋建て。

まるで地形のように、建物が部分的に隆起しています。

この不可思議な形状を、構造的に成立させつつ、

設備や機能などの条件も満たすのは、至難の業です。

まず模型を実際に作ってから、コンピューターで解析。

それをひたすら繰り返す必要があったそうです。

時代が進化しても、建築模型は必要なのですね。

なお、模型内を覗いてみたところ・・・・・

 

 

 

数えられないくらいの椅子とテーブルがありました。

そんなには必要なくないですか??

 

 

さて、今回の建築模型展では、

現代建築の建築模型だけではなく。

桃山時代には存在していたと思われる「茶室起こし絵図」を筆頭に、

 

 

 

 

城郭の木製模型や五重塔の小塔といった歴史的な建築模型も紹介されていました。

中でも最も古い建築模型が、こちらの家型埴輪です。

 

 

 

建築を写すために作られたというよりは、

葬送儀礼や古墳を飾るために制作されたと考えられているそう。

死後の世界でも、家には困らないように。

そんな願いが込められているのでしょう。

余談ですが、じーっと観ていたら、

2つ空いた窓が、目のように見えてきました。

と同時に、ヘーベルハウスのCMのキャラクターのようにも見えてきました。

今にも「ハーイ!」と言いながら、屋根を取り外しそうな気さえします。

 




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