市原湖畔美術館で現在開催されているのは、
“金氏徹平 S.F. (Something Falling/Floating)”という展覧会です。
「Smoke and Fog」や「Splash and Flake」、「Summer Fiction」など、
バイク川崎バイクの「BKB」と同じ要領で(?)、さまざまな「S」と「F」を組み合わせた、
「S.F.」シリーズをこれまでに数多く発表してきた美術家で彫刻家の金氏徹平さん。
その最新作となる展覧会です。
彫刻家というと、木を彫ったり、石を彫ったり、粘土をこねたり、
はたまた、金属を溶接したり、と、そんなイメージを抱いているでしょうが。
金氏さんの彫刻作品は、そういった一般的な彫刻作品とは一線を画しています。
彼が制作するのは、日常的な素材を切断し、
それらを接続することで、本来の意味や用途から解放された“何か”。
いうなれば、立体版コラージュ作品といったところでしょうか。
見た目も大きさも素材もバラバラではあるものの、
すべての金氏作品に共通しているのが、独特のユニークさ。
「一切の隙が無く、完璧な計算のもと生まれました」というよりは、
「コレとコレを組み合わせたら、なんか面白いものが出来ちゃった。てへ」的な、
遊び心のようなものがどの作品からも感じられます。
リステリンやキーフックといった素材を、
美術作品に使用するのは、金氏徹平先生だけ。
自由な発想だからこそ生まれるSF(すこし・不思議)な世界観です。
なお、数ある意外な素材の中でも特に意外だったのが、こちら↓
このミョ~ンとしたものの正体は、
雨の日のお店の入り口でもらう傘袋に、
セメントを入れて固めたものなのだとか。
何をどうしたら、その発想が生まれてくるのか。
少しどころかスーパー不思議です。
ちなみに。
村田沙耶香さんの『コンビニ人間』の表紙に使われた作品を筆頭に・・・・・
これまではカラフルな作風の印象がありましたが。
今展で出展されている作品は一転して、
グレーを基調としたモノクロな作品が大半を占めていました。
これらは会場となる市原湖畔美術館の外観や内装からインスピレーションを得たものとのこと。
いろんな色を混ぜていくと、グレーっぽい色になることにも通じているのだそう。
とはいえ、会場にまったく色が無いかといえば、さにあらず。
本展では、照明デザイナーの髙田政義さんとコラボし、
照明の色が赤や青、黄色と変化していくのも大きな見どころです。
白い照明から変化すると、グッとSFチックな展示空間に!
先ほどまでのどこかユーモラスな印象から、
一気に、妖しげでアンダーグラウンドな印象に様変わり。
照明が変わるだけで、不思議と、
作品の存在感が3割増となりました(とに~比)。
無機物であるはずなのに、
どこか生命体のように感じられます。
耳を澄ませば、息遣いが聞こえてきそうな感すらありました。
作品によっては、宇宙人や怪物のように見えるものも。
特にこいつ↓
『ウルトラQ』とか『ウルトラセブン』に、
こんな敵キャラ登場していませんでしたっけ?