イタリア・ボローニャのブックフェアが主催する、
絵本作家の登竜門ともいうべき絵本原画の国際コンクール。
それが、ボローニャ国際絵本原画展です。
例のウイルスが世界的に流行して以来、オンラインで開催されていましたが、
今年2022年は、3年ぶりにボローニャでリアル開催され、大変な賑わいを見せたそうです。
エントリーしたのは、過去最多となる92か国3873件。
それらの中から厳正なる審査を経て、
見事入選した入選作全てを紹介する展覧会が、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
幟を新調したばかりの板橋区立美術館で開催されています。
2022年の入選作家は、
昨年より2人増えて、29か国78作家です。
ここ近年、アジア勢が健闘していますが、
その傾向は今年も継続されているようで、わが日本は4人、
中国7人、台北6人、韓国9人、北朝鮮1人が入選していました。
なお、入選作家の中には、ロシアの作家や、
ウクライナの作家も。
両国の作家の作品が同じ空間に並んでいる。
ただ、それだけで、いろいろと感じるものがありました。
ちなみに、ウクライナの作家、
ガンナ・イヴァネンコによる絵本のタイトルは、『わたしの街』。
描かれているのは、ここ最近、
連日報道で目にしているウクライナの街並み。
当たり前なのですが、ちょっと前までは、
こういった日常の光景が広がっていたのかと思うと、
胸が苦しくなるものがありました。
少しでも早く世界に平和が訪れますように。
さて、話は変わりまして。
もしかしたら、今世界的にブームが来ているのでしょうか?
入選作のうち2点が、ミミズを主役にしたものでした。
一つはウズベキスタンの作家、
ユリア・ドロボワの『ミミズを見てみよう』。
そして、もう一つは、イタリアのノエラ・ヴォーラによる、
『ニョロリのざんねんな一生 ミミズに関する長すぎない研究』です。
『ニョロリの~』のほうには、
斬新なミミズが多数登場していました。
スパイダーマンミミズに、シンプソンズミミズ、
ウォーホルミミズにバスキアミミズ、マイケル・ジョーダンミミズ。
そして、セーラームーンミミズもいます。
著作権的に大丈夫なのか?
月にかわっておしおきされないか心配です。
著作権的に心配と言えば、
韓国のチェ・ダニの『真夜中の美術館』も。
真夜中の美術館で作品たちが動き出す。
『みんなのうた』の「メトロポリタン美術館」や、
映画『ナイトミュージアム』的発想の絵本です。
クリムトとかデュシャンとかムンクとか、
著作権的に問題なさそうな作品もありますが。
どのアーティストとは言いませんが、
著作権的に厳しそうなものも描き込まれています。
果たして、この原画は消されずに生き残れるのか?
『イカゲーム』よりも手に汗握りそうです。
ちなみに。
現代アート関連で、もう一冊。
イランのモハンマド・バーバークーヒーの作品です。
赤い水玉とか、ひまわり畑とか、かぼちゃとか。
たぶん、あの現代アーティストの半生をテーマにした絵本なのでしょう。
なお、タイトルに目をやると、『わたしはただの水玉』とありました。
疑念が確信に変わりました。
最後に。
今回の入選作の中で個人的にイチオシなものをご紹介。
スペインのペラ・ジナルドによる絵本原画、
『すべての生きているもの、死んだもの、想像上のもの事典』です。
人によっては、ハズキルーペがないと、
「絵が小さすぎて、見えないっ!」と叫びたくなるほど、
1枚の中に、小さなキャラクターが多数描かれています。
そのどれも、ユルかわ。
あまりの可愛さに、胸を撃ち抜かれました。
このLINE クリエイターズ絵文字が発売されますように。