京都・嵐山の渡月橋のすぐそばに、
2020年にオープンした福田美術館。通称、福美。
その開館3周年を記念して開催されているのが、
開館時、コレクションの数は、
約1500点と公称されていましたが。
2年ぶりに、福美を訪れたら、
コレクションの数が約1800点となっていました。
まさか、そんなにもコレクションが増えていただなんて!
それは当然、未公開作品が、まだまだあるわけですよね。
本展では、そんな未公開作品と、福美の目玉作品の中から、
福美ではあまりフィーチャーされる機会のなかった近代絵画が紹介されています。
それらの中には、いかにも横山大観といった富士山を描いた屏風絵や、
35年ぶりの公開となる杉山寧の大作《慈悲光》も。
それにくわえて、東山魁夷や秋野不矩、
さらには、加山又造といった、
昭和を代表する画家たちの作品も数多く公開されていました。
また、大正12年に刊行された近松門左衛門の作品集、
『大近松全集』の付録となった版画とその原画も公開されています。
まとまった形ですべてを展示するのは初めてとのこと。
それらの中で特に必見なのが、《雪女》。
近松門左衛門の浄瑠璃『雪女五枚羽子板』の一場面を題材にした作品です。
観た瞬間に、背筋がゾワっとする。
暑い夏には、ピッタリの作品です(←?)。
作者はなんと、美人画の名手、上村松園。
この雪女はさすがに美人ではないなァ・・・と思いきや。
よくよく見ると、鼻筋が整っています。
Eラインもありますね。
雪女でも美人に仕上げるのは、さすが松園です。
と、それはともかくとして。
未公開の作品の中に、これほど名品があったとは!
しかも、未公開作品を紹介する今回の展覧会でも、
まだまだ出し切れなかった未公開作品もあるようです。
恐るべし、福美!
底知れない?天井知らずの?
福美コレクションに、ただただ驚かされる展覧会でした。
ちなみに。
本展で特にスポットが当てられていたのが、
昭和初期に活動した国画創作協会の画家たち。
国画創作協会とは、文展の審査に、
不満があった京都の若手日本画家たち、
入江波光や小野竹喬らによって結成された団体。
こちらが、そのメンバーの集合写真です↓
村上華岳のビジュアルを初めて目にしましたが、
想像していた姿よりも、わりといかつめの印象でした。
ちょっと布袋寅泰に似ている気もします。
なお、そんな華岳が描いたのが、こちらの《牡丹の園》。
華岳は、牡丹が好きだったようで、
その生涯で数多くの牡丹の絵を描いたそう。
それだけに、牡丹の花の描写はお見事。
ただ、この絵に関しては、葉や枝の描き方がやや雑なような。。。
縮尺もなんだか微妙な感じ。
2頭身キャラみたいになっています。
個人的に国画創作協会のメンバーの中で気になったのは、野長瀬晩花なる画家。
一人だけ洋装で、イケメンな雰囲気を醸し出していました。
野長瀬晩花という名前も、乙女ゲーに登場しそうな感じですし。
そんな野長瀬晩花の作品が、こちら↓
名前同様に、オシャレで上品なイメージです。
どことなくアール・ヌーヴォーを彷彿とさせるものがありました。
野長瀬晩花。この名前を覚えておこうと思います。
それと、国画創作協会のメンバーの作品で、
もう一点紹介したいのが、入江波光の《浄天》。
描かれているのは、天女とのことですが。
妙に胴が長いのが気になります。
天女というよりも、クリオネ。
流氷の天女です。
最後に。
展覧会とは直接関係ないですが、
久しぶりに福美を訪れたら、こんなコーナーが誕生していました。
一般的なミュージアムでは見かけない、
生協の白石さんみたいなシステムです。
掲示されていたQ&Aには、こんなものも。
一般的なミュージアムでは、
こんなこと、まず答えてくれないでしょう。
これからのQ&Aコーナーにも注目です。