もし、関西方面を訪れるなら、
絶対に観ておいた方がイーノ!
そう、アート関係者が口を揃えて、
オススメする展覧会が京都で開催されています。
その名は、“BRIAN ENO AMBIENT KYOTO”。
アンビエント・ミュージック、いわゆる環境音楽の創始者として知られる、
世界的音楽家/音楽プロデューサー、ブライアン・イーノの大規模展覧会です。
もし、彼の名前にピンと来なくても、
彼が作曲した「Windows 95」の起動音は、
一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
さてさて、展覧会の舞台となるのは、
京都中央信用金庫 旧厚生センター。
京都駅のほど近くに位置する昭和5年に竣工した建物です。
この歴史ある建物をまるまる使って、
ブライアン・イーノの最新個展が開催されています。
出展作は、全部で5点。
まず最初に案内されるのは、
3階の1フロアを使って展開されている《The Ship》です。
タイタニック号の沈没、第一次世界大戦、
傲慢さとパラノイアの間を揺れ動き続ける人間。
その3つをコンセプトの始点に置いたインスタレーション作品とのこと。
空間内にあちこちに配置されたスピーカーからは、
囁き声や嗚咽交じりの声といったさまざまな人間の声や、
宇宙や海を想起させるさまざまな音が聞こえてきます。
それらに耳を傾ける鑑賞たち。
その光景は、まるで何かの演劇のワンシーンのようでした。
また、同じく3階で展示されていたのが、
世界初公開となるイーノの最新作《Face to Face》です。
画面に映っているのは、3つの顔。
これらは、実在する21人のポートレイトを、
特殊なソフトウェアを使って変化、合成させたもの。
画面上の顔はゆっくりと変化し続け、
別人の顔から、また別人の顔へと変わっていきます。
オバサンと思ったら、いつの間にかオジサンに。
かと思ったら、またオバサンに。
ちょっと変化するだけで、人の顔の印象は、
性別すら超越するほどに変わってしまうものなのですね。
できれば、個人的には、この作品の日本人ver.のものも観てみたかったです。
なお、この作品は、理論上、毎秒30人ずつ、
3万6000人以上の新しい顔を誕生させることができるそう。
ということは、もしかしたら、一瞬くらいは、
自分とよく似た顔が画面に映ることもあるかもしれません。
2階で展示されていたのも、徐々に変化する系の作品。
光の色が変化する《Light Boxes》です。
なお、《Face to Face》と《Light Boxes》の展示空間、
および、会場の廊下や階段、化粧室などで流れている音は、
日本初公開となる《The Lighthouse》というオーディオ作品。
アンビエント・ミュージックゆえ、
意識しないと、音は感じられないですが。
実は、建物内がシームレスに音楽で繋がっていたというわけです。
最後に展示されていたのは、
イーノの代表作、《77 Million Paintings》。
空間内には、砂山と無数の北山杉の柱山、
そして、これまた徐々に変化する映像が配置されています。
それと、座り心地が良さそうなソファーもたくさん。
鑑賞者はこのソファーに座って、
7700万通りの組み合わせがある映像を、
ただひたすらボーっと眺めることになります。
リラックス効果、ヒーリング効果は絶大。
快イーノ、心地良イーノなんのって!
めちゃめちゃ眠くなりました(←誉め言葉です!)。
てか、ちょっと寝ました。
頭は覚醒しているのに、
深い眠りに誘い込まれそうになる。
アンビバレントな体験ができる展覧会です。