Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

コレクションをめぐる6つの部屋 ルームス

$
0
0

日本最大級、いや、アジア最大級のダリ美術館である。

それが、福島県裏磐梯にある諸橋近代美術館(通称)、モロ美です。

 

 

 

そんなモロ美で、この夏から秋にかけて開催されるのが、

“コレクションをめぐる6つの部屋 ルームス”という展覧会。

美術館の6人のキュレーターが部屋の住人となり、

コレクションをそれぞれのテーマで紹介するという展覧会です。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)

 

 

まず、最初のルームがこちら↓

 

 

 

この部屋の住人は、

諸橋近代美術館の現館長。

 

 

 

父で創設者の諸橋廷蔵氏のエピソードを中心に、

コレクションが収蔵されたいきさつが紹介されています。

 

 

 

モロ美を代表するコレクションの数々が、

コレクターの目線で語られているのが、なんとも新鮮。

個人的には、ダリ以外のコレクションに関するエピソードが興味深かったです。

 

 

 

諸橋近代美術館は、ダリだけじゃない!

そんな住人(=館長)の心の叫びが聞こえてくるようでした。

 

 

・・・・・とはいっても。

やはりモロ美のファンにとっては、

ダリ欲を満たして欲しいのもまた事実。

続いてのルームでは、思う存分にダリを満喫することができます。

 

 

 

というのも、この部屋の住人は、

ダリマニアを自称するあの学芸員。

『そろそろ美術の話を…』にも出演してくれた大野さんです。

 

 

 

この部屋では、モロ美を代表するダリ作品とともに、

ダリマニアならではのつぶやきも紹介されていました。

 

 

 

「いいね」ボタンが、ハートではなく、

ヒゲになっているのが、心憎い限りです。

 

 

ROOM3のテーマは、「語らい」。

対話型鑑賞を担当する学芸員が住人だけあって、

鑑賞者が参加できる仕掛けが多々用意されていました。

 

 

 

実際に、声を出すわけではないですが、

住人や他の鑑賞者とおしゃべりしているような、

そんな気分になれる楽しい部屋です。

 

そのお隣ルーム4の住人は、

作品保存が担当の学芸員さん。

それゆえ、これまで展覧会を担当したことはなかったそうです。

そんな学芸員さんがテーマに選んだのは、

作品を保存する上で重要なポイントとなる「材質」。

 

 

 

作品に使われている顔料の実物を展示したり。

油彩と水彩を並べて展示することで、

作品に当てる照明の照度が違うことを比較してみせたり。

 

 

 

知っているようで意外と知らない材質について、

専門家の視点から、わかりやすく紹介しています。

これが展覧会デビューとは思えない、興味深い展示でした。

ルーム4の住人の今後に期待です。

 

 

ルーム5のテーマは、「プロセス」。

 

 

 

モロ美のダリコレクションの一番の特徴は、

ダリの立体作品が多く含まれていることにあります。

ダリの立体作品は、実に複雑な構造なため、

展示するたびに組み立て直しているのもあるのだとか。

当然、僕ら鑑賞者が目にするのは、

組み立て終わった後の完成形の姿です。

今展ではあえて、その途中のプロセス(工程)状態の姿で展示。

さらに、組み立てていく様子の動画も紹介されていました。

ダリ版『何を作っているのでしょうか?』(出展:クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!)

映像を観ている際、僕の脳内では、

『カルメン前奏曲』が再生されていました。

 

 

さて、展覧会のラストを飾る最後の部屋は、

良い子の皆様にはちょっと刺激が強いお部屋。

「スキャンダル」がテーマの部屋です。

 

 

 

部屋の入り口にあったのは、この部屋に作品が飾られている画家、

ゴッホ、ユトリロ、スーチンの3人の㊙エピソードが掲載されたスキャンダラス新聞。

これを読んでから彼らの作品を観ると、

その印象がガラッと変わるかもしれません。

 

 

 

さらに、ダリのコレクションの中から、

アダルトな作風のものも展示されていました。

 

 

 

これまでさまざまな美術館で、たくさんのコレクション展を観てきましたが、

複数の切り口でオムニバス形式で見せるのは新鮮で、純粋に面白かったです。

個人的には、モロ美の歴代の展覧会の中でベストの展覧会でした!

 

 

 

音声ガイドに、僕を起用したという点も含めて(笑)、

モロ美のチャレンジ精神に大きな拍手を送りたいと思います。

いつかは一度訪れてみたい諸橋近代美術館。

この展覧会の開催期間に訪れることを、心よりオススメいたします!

星星星

 

 

ちなみに。

展覧会と同じくらいに、いや、それ以上に(?)、

オリジナルグッズの制作に力を入れているモロ美。

 

 

 

その最新グッズとして、ダリラベルのシードルが販売されていました。

ふくしま逢瀬ワイナリーで作られているシードルとのこと。

このシードルをショップで販売するために、

ちゃんと酒類小売業免許を取得したそうですよ。

 

 

 


1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles