今年2022年は、古生物学史上重要な化石が数多く発掘された、
ゴビ砂漠が初めて本格的に探索されてから100年目の節目の年。
それを記念して、現在、上野の国立科学博物館では、
“化石ハンター展 ～ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣～”が開催されています。
今でこそ、「恐竜発掘の聖地」として知られるゴビ砂漠ですが、
100年前までは、サイの歯の化石1本がたまたま見つかっただけの、
研究者たちに見向きもされない、不毛の地だったのだそうです。
そんなほぼ人跡未踏の秘境だったゴビ砂漠に、
初めて本格的に足を踏み入れたのが、中央アジア探検隊。
そのリーダーを務めた人物こそが、
伝説の化石ハンター、ロイ・チャップマン・アンドリュースです。
ロイ・チャップマン・アンドリュース (C)American Museum of Natural History –Research Library
ゴビ砂漠を調査するにあたって、
彼は、ラクダによるキャラバン隊だけではなく、
当時普及したばかりの自動車を使うことにしました。
この画期的かつ効率の良い方法のおかげで、
探検を始めてわずか数日後に、恐竜や哺乳類の化石を多数発見したそうです。
その後、計5回にわたって、アンドリュース率いる探検隊はゴビ砂漠を調査。
恐竜の卵をはじめ、古生物学史上重要な化石を数多く発掘しました。
会場では、そんなゴビ砂漠で発見された生物たちの化石の数々が紹介されています。
それらの中には、“角のない”角竜類のプロトケラトプスや、
『ジュラシック・パーク』にも登場したベロキラプトルの全身骨格も。
恐竜ファンにとってはたまらない、
恐竜密度の高い展示空間となっています。
ちなみに、アンドリュース自身は、
もともとは恐竜の専門家ではなく、動物学者。
彼の師にあたるヘンリー・F・オズボーンが提唱した、
「哺乳類の起源がアジアにある」という仮説を立証するのが、調査の本来の目的でした。
それゆえ、実際、恐竜の化石だけでなく、
探検隊は哺乳類の化石も数多く発見しています。
その中でとりわけ印象深かったのが、プラティベロドン。
アゴが、クッキングパパくらいに大きく、
掬い上げるような形（？）となっています。
そんなプラティベロドンの復元画がこちら↓
プラティベロドン復元画_(C)伊藤丙雄・岡本泰子
なんというか、全体から、
赤塚不二夫感が滲み出ています。
このフェイスで、生活に支障がないのか。
心配になってしまいますが、案外本人は、
「これでいいのだ」と思っているのかもしれません。
なお、アンドリュース率いる中央アジア探検隊は、
“哺乳類の起原アジア説”を立証することは出来ず、
1930年の調査を最後に、ゴビ砂漠を去ったそうです。
しかし、そこから現在に至るまで、
ゴビ砂漠での調査は続けられています。
展覧会では、アンドリュース以降の、
世界の化石ハンターたちの発見の数々も紹介。
それらの中には、史上最大の陸生哺乳類パラケラテリウムの全身骨格もありました。
その大きさは、現在最も大きいとされる、
陸生哺乳類アフリカゾウの比ではありません。
こんな哺乳類が存在していただなんて。。。
まるでモンスターハンターの世界のようです。
さて、展覧会のラストでは、現在の化石ハンターの一人、
中国の王暁鳴（ワン・シャオミン）氏がフィーチャーされていました。
彼が探検の地として選んだのは、チベット高原。
実は、チベット高原は、遥か昔、北極より寒冷だったそう。
この過酷な環境が、いうなれば訓練の場となって、
適応した哺乳類が氷河時代になり、各地に放散したのではないか。
これが、王氏が唱える「アウト・オブ・チベット」説です。
展覧会では、この説が提唱されるきっかけとなった、
チベットケサイの全身骨格と生体モデルが復元されていました。
これらは、なんと世界初公開の貴重なもの。
初めて目にするチベットケサイは、
思ってる以上に、角が大きかったです。
『ベルセルク』の巨剣を彷彿とさせるものがありました。
┃会期：2022年7月16日（土）～10月10日（月・祝）
┃会場：国立科学博物館
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なお、〆切は、8月10日です。
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