現在、世田谷美術館で開催されているのは、
“宮城壮太郎展 使えるもの、美しいもの”という展覧会。
世田谷に居を構え、デザイナー、デザインコンサルタントとして活躍。
2011年に、惜しまれつつ60歳でこの世を去った、
宮城壮太郎にスポットを当てた初めての展覧会です。
宮城壮太郎という名前を聞いて、
「あー、知ってる知ってる!」となった方は、
おそらく、そんなにはいないことでしょう。
お恥ずかしながら、僕もこの展覧会で初めて知りました。
同じ千葉大学を卒業した大先輩だというのに。
一般的には、そこまで名前を知られていないでしょうが。
宮城壮太郎がデザインしたプロダクトは、
人生の中で一度は目にしたことがあるはずです。
キッチン用品や文房具から、工業用のモーターまで。
さらには、ホテルのサイン計画や、複合ビルのリノベーション計画などなど。
ありとあらゆるモノをデザインした人物です。
中でも、もっとも代表的ともいえるのが、
アスクルのオリジナル製品のプロダクトデザイン。
オフィスでよく目にするこれらのプロダクトは、
実は、宮城壮太郎によってデザインされていたのです。
ちなみに、アスクル坊やも宮城のデザインとのこと。
宮城には、「本当に必要で長く使えるものをデザインする」という思想があったそう。
それゆえ、プロダクトのパッケージにもこだわっており、
そのまま置いたとしても、見栄えがするようデザインされているそうです。
例えば、オフィスで大量に使うクリップ類のパッケージは、こんな風に↓
サイズを揃えることで、そのままでも、
積み重ねて収納ケースのように使うことができます。
ユーザーにとって使いやすいのはもちろんのこと。
実際に手にして使うその時だけでなく、
そのプロダクトを使う生活や暮らしのことまで見据えて、
長期的な視野でデザインしている。
そして、その結果、プロダクトそのものも美しくなっている。
彼のプロダクトの数々を目にして、そのような印象を受けました。
個人的に一番感銘を受けたデザインは、
1989年発売の「プラスシステムファイリング」シリーズです。
このシリーズのデザインのテーマは、「オフィスの情報管理」。
従来のファイルでは収納しにくかった書類や小物も含め、
共通の規格のファイリングをすることで、情報の共有化を促したのだそう。
さらに、スペースの有効活用も提案したのだそうです。
オフィス用品のデザインが、働き方改革に繋がるのですね!
デザインの重要性、奥深さに、目から鱗が落ちる思いでした。
なお、展覧会では、宮城壮太郎のプロダクトだけでなく、
彼をよく知る人物たちのインタビュー映像も紹介されていました。
皆さまの証言によって、宮城壮太郎の人物像が見えてきます。
千葉大学が生んだ偉大なデザイナー、宮城壮太郎。
大学の後輩として、誇りに思うとともに、
これからその名を少しでも発信できたらと思っております。
ちなみに。
ミュージアムショップでは、
宮城がデザインしたプロダクトも販売されていました。
中には、デッドストックのものも!
セタビに行かねば手に入らないレアアイテムですよ。
個人的に一番欲しかったプロダクトは、
残念ながら、ショップでは扱ってなかったので、
帰宅後、早速楽天で注文してしまいました。
それが、こちらの醤油さし↓
重ねることができる醤油さしです。
この発想はなかった!
まさに「コロンブスの卵」です。
これで食卓の上の調味料がスッキリ。
スペースが有効活用できます。