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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

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今年1月、ドイツのドレスデン国立古典絵画館から、

修復されたばかりのフェルメールの《窓辺で手紙を読む女》が来日したのを皮切りに。

ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館と、

国立西洋美術館が初コラボを果たした“自然と人のダイアローグ”に、

国立新美術館と京都国立近代美術館を巡回する“ルートヴィヒ美術館展”に、

ドイツの巨匠ゲルハルト・リヒターの日本では16年ぶりとなる個展が開催されるなど、

何かと、ドイツづいていた今年の日本のアートシーン。

 

そのラストを飾る展覧会が、現在、

国立西洋美術館で開催されています。

それが、“ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展”です。

 

 

 

ドイツの美術商で、世界有数のコレクターでもあった、

ハインツ・ベルクグリューンのコレクションを収蔵展示する美術館。

その名も、ベルリン国立ベルクグリューン美術館。

1996年に開館し、2004年から現在の名称へと改称。

現在は長期改修工事のため、臨時休館しています。

それゆえ、これまでほとんど貸し出されることがなかった、

コレクションのスター選手たちが、初めてまとまった形で来日しています。

出展数は、97点。

そのうち、実に76点が日本初公開です。

 

ベルクグリューンは、何でも欲しがるコレクターとは真逆のタイプだったそうで。

自身が特に気に入った作家だけに、

ターゲットを絞って作品を購入したそうです。

その一人が、アルベルト・ジャコメッティであり、

 

 

 

パウル・クレーであり。

 

 

 

中でも、特に力を入れて蒐集していたというのが、ピカソの作品。

今展の出展作品の約半数が、ピカソの作品となっています。

「青の時代」の作品もあれば、

 

 

 

「キュビスム時代」の作品、

 

 

 

「新古典主義時代」の作品、

 

 

 

晩年近くの、いわゆるピカソらしい作品も!

 

 

 

長い画業がきちんと追えるように、

あらゆる時代のピカソが取り揃えられていました。

 

 

ポーラ美術館で現在開催中のピカソ展も、かなり見応えありますが。

こちらのピカソコレクションも、まったく遜色ないくらいに見応えがあります。

出展されていたピカソ作品の中で、

特に印象的だったのが《裸婦》という作品。

 

 

 

ピカソの代表作中の代表作、

《アヴィニヨンの娘たち》の習作とされる一枚です。

映画『アバター』に出てきそうな顔立ち。

人間味はほぼありません。

現代の自分らが見ても、十分違和感を覚えるわけですから、

普通の(?)肖像画が当たり前のあの時代に、この絵を観た人々は、

それは大きな衝撃を受けるでしょうし、拒否反応を起こすのも当然です。

そうした周囲の声に潰されることなく、画家の道を突き進んだピカソ。

改めて、そのメンタルの強さに驚かされました。

 

 

続いて印象的だったのが、《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》

 

 

 

なんとなく、‘アプリの写真加工失敗’感漂う一枚です。

あるいは、そこはかとなく、‘しりあがり寿’感漂う一枚です。

なお、こちらの《踊るシノレス》も、‘しりあがり寿’感が漂っています。

 

 

 

絵画なので、動かないはずなのですが、じーっと眺めていたら、

しりあがり寿さんによるゆるいアニメ「ゆるめ~しょん」のように見えてきました。

 

 

ちなみに。

今回来日したピカソ作品の中で、

個人的にお気に入りなのが、《雄鶏》

 

 

 

伊藤若冲が描いた鶏に、

負けないくらいの迫力があります。

全体的なバランスで考えると、

身体に対して、翼は小さめな印象。

ティラノサウルスを彷彿とさせるものがありました。

ピカソが生きていた頃、

恐竜は鳥類の祖先ではなく、

爬虫類の祖先と考えられていたはず。

天才ピカソは、鶏に恐竜の影を感じていたのかもしれませんね。

 

 

さてさて、ベルクグリューンは、

ピカソ、ジャコメッティ、クレーの他に、

マティスの作品も、特に晩年の切り絵の作品を多く集めていました。

 

 

 

実は、マティスの切り絵に焦点を当てた展覧会を、

世界で初めて開催したのが、ベルクグリューンの画廊でした。

こちらは、その記念すべき展覧会のために制作されたポスターの図案↓

 

 

 

残念ながら、この図案は採用されなかったそうですが、

世に出回らなかった分、ある意味こちらのが貴重なものと言える気がします。

 

なお、マティスの作品も数多く来日していましたが、

その中で個人的に一番印象に残っているのが、墨で描かれたこちらの作品。

 

 

 

タイトルは、《家に住まう沈黙》とのこと。

描かれている2人は、嫁と姑なのでしょうか。

得も言われぬ気まずさ、沈黙感が画面を満たしています。

何て声をかけていいものやら。

観ているこちらまで「・・・・・。」と、

気まずくなってしまう、不思議な味わいの一枚でした。

 

 

ちなみに。

展覧会には、ピカソを含む4人に、

もっとも大きな影響を与えた画家・・・・・

 

 

 

セザンヌの作品も数点展示されています。

近代美術界のレジェンド5人、

近代美術界のドリフターズ(?)の作品が、

たっぷりと堪能できる豪華な展覧会です。

「今度はどの展覧会に行こうかな?」と、悩んでいる方、

ベルリン国立ベルクグリューン美術館展に、次、いってみよー!

星星星





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