先日は、東京国立近代美術館へ。
ゲルハルト・リヒター展ぶりに訪れたら・・・・・
なぜか、美術館の外観に、
宇和島駅の看板が設置されていました。
もちろん、いつの間にか近美が、
宇和島駅を兼ねることになったわけではなく。
現在開催中の“大竹伸朗展”の出展作品のうちの一つでした。
なお、補足しますと、あの宇和島駅の看板は、
かつての宇和島駅の駅舎で実際に使用されていたものとのこと。
新しい駅舎にリニューアルする際に、
廃棄されることを知った大竹さんが自ら、
駅舎から焼き切って取り外し、保管しておいたものなのだそうです。
さて、今回開催されている大竹伸朗展は、
東京では実に16年ぶりとなる大規模回顧展。
「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」という、
全7つのテーマにわけて、最初期の作品から最新作までを紹介しています。
その数、なんと約500点!!
一人の人間が作成したとは、
とても思えない膨大な量の作品が展示されていました。
中でも、目玉と言える作品が、こちら↓
2012年のドクメンタ13で展示され、大きな話題を呼んだ作品です。
2013年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館での個展以来、日本で展示されるのは2回目。
あまりにも大きいため、
天井の一部がぶち抜かれていました。
ちなみに、タイトルは、《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》。
“どの辺りがどう、自画像なのか、、、??”
と、戸惑いながら、内部を覗いてみると・・・・・
そこには、巨大な本のようなものがありました。
どうやら、こちらはスクラップブックとのこと。
なんでも、大竹さんは、ロンドンに滞在していた1977年から、
現在に至るまで、毎日のようにスクラップブックを作り続けているのだそう。
つまり、「大竹伸朗=スクラップブック」と言っても過言ではありません。
なお、これまでに70冊以上のスクラップブックを完成させたとのこと。
会場ではそれらが所狭しと並べられていました。
ちなみに。
もうこれ以上貼るところがないほどに、
貼りに貼られたスクラップブックは、相当な重量があるのだそう。
中には、『Heavy』というシールが貼られたものさえありました(笑)
さて、肝心の展覧会の感想は、と言いますと。
とにかくボリュームが多いので、
お腹いっぱい、胸いっぱいになりました。
ただ、冷静に振り返ってみると、
何を食べたのか、どんな味だったのか、
日本料理だったのか、多国籍料理のようだったのか、
正直なところ、よくわからなかったというのが正直なところです。
とはいえ、その“よくわらかなさ”が、
不満だったかといえば、決してそんなことはなく。
よくわからないけど、なんか面白かった。
よくわからないけど、なんか元気をもらえた。
よくわからないけど、また通いたくなった。
そんな『オモウマい店』のような展覧会でした。
ちなみに。
個人的にお気に入りのメニュー(=作品)は、
「網膜シリーズ」の《網膜╱太陽風 1》という作品です。
一見すると、何の変哲もない(?)抽象画のようで、
一度とならず、二度三度とこの作品の前を素通りしてしまいましたが。
素材を長時間放置して、劣化させて作ることも多々あるという大竹さん。
この作品に関しては、30年放置させた素材、
ポラロイドのフィルムやプラスチック樹脂で制作されているそうです。
それを知ると途端に、この色合いが、
何十年も熟成させたウイスキーのように思えてきました。
それから、もう一つ強く印象に残っているのが、
大竹さんの代名詞ともいえる《ニューシャネル》です。
『ニューシャネル』が前面に、
プリントされたTシャツはよく目にしていましたが、
その元ネタを観るのは、実は今回が初めて。
実物のドアは、思っていた以上に、細かったです。
あと、思っていた以上に、取っ手の位置が低かったです。