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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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つながる琳派スピリット 神坂雪佳

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現在、パナソニック汐留美術館では、

“つながる琳派スピリット 神坂雪佳”が開催されています。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)

 

 

明治から昭和にかけて、

京都を中心に活躍した図案家で画家の神坂雪佳。

その国内では約20年ぶりとなる本格的な大回顧展です。

星星

 

 

どことなく杉本哲太さん似の写真の人物が、

今回の展覧会の主人公である神坂雪佳その人。

 

 神坂雪佳(1866-1942)

 

 

琳派に強い関心を寄せ、琳派を意識しながらも、

先進かつ大胆でモダンな表現を得意とした神坂雪佳。

それゆえ「近代琳派」「光琳の再来」などと評されています。

また、2001年に、代表作である木版画集『百々世草』のうちの一図が・・・・・

 

神坂雪佳《『百々世草』原画より「八つ橋」》 紙本著色 1909(明治42)年頃 芸艸堂蔵

 


あのエルメスが刊行する雑誌『Le Monde D'Hermes』の表紙に採用されたことでも話題に。

国内はもちろん、国外でも人気急上昇中のマルチアーティストです。

 

 

さて、展覧会の冒頭で紹介されているのは、

そんな神坂雪佳に影響を与えた琳派の作品の数々。

 

 

 

今展を監修している京都の細見美術館が所蔵する、

珠玉の琳派コレクションから選りすぐりの名品の数々が出展されています。

それらの中には、細見美術館コレクションでも屈指の人気を誇る俵屋宗達の《双犬図》も。

 

俵屋宗達《双犬図》 紙本墨画 江戸前期 細見美術館蔵

 

 

正直なところ、神坂雪佳がメインの展覧会ゆえ、

いわゆる琳派や江戸琳派の作品は出展されていないだろう、

出展されていても参考出品程度だろうと思っていたので、嬉しいサプライズでした。

 

 

ちなみに。

個人的には、大好きな中村芳中の作品が充実していて大満足。

こちらの《白梅小禽図屛風》をはじめ、

相変わらず、ユルさ全開とぼけた味わいの作風でした。

 

 

 

特に印象的だったのが、こちらの細長く変形的な屏風作品。

 

 

 

何が描かれているのか、パッと見、わかりませんでした。

近づいて観ても、やっぱりイマイチわかりませんでした(笑)

 

 

 

正解は、《枝豆露草図屛風》とのこと。

確かに、言われてみれば、枝豆ですね。

雰囲気的には、だだちゃ豆でしょうか。

 

 

と、ここまででも十分見ごたえありましたが、

その先に、いよいよ満を持して、今展の主役が登場します。

まずは図案家としての雪佳の仕事にスポットが当てられていました。

会場には、雪佳が発表した主な図案集が一堂に会しています。

 

 

 

それらの中にはもちろん『百々世草』も!

しかも、貴重な原画も併せて展示されていました。

 

 

 

数ある図案集の中で個人的にイチオシなのは、『滑稽図案』。

その名の通り、笑いに振り切った図案集です。

 

神坂雪佳『滑稽図案』より「美人草」 紙本木版多色摺 1903(明治36)年刊 芸艸堂蔵

 

 

 

会場内のモニターでは、全ページが観られるように、

『滑稽図案』(『ちく佐』、『百々世草』も)のスライドで上映されていました。

雪佳がデザインセンス抜群であることは存じ上げていますが、

笑いのセンスに関しては、たいしたことが無いだろうと、あまり期待せず、

スライドを眺めていたのですが、普通に面白くて、最後まで観てしまいました。

天は雪佳に二物を与えたようです。

 

図案集に続いて紹介されていたのは、

雪佳がデザインを手掛けた調度品の数々。

漆器や木工芸、やきもの、染織など、

雪佳は実に多彩なジャンルのデザインを手掛けています。

 

 

 

また、漆芸の図案も手掛けており、

京都の蒔絵師・神坂祐吉が手掛けた作品も展示されていました。

 

 

 

なお、 神坂祐吉という名前を聞いて、

勘の良い方ならピンと来たかもしれませんが、

神坂祐吉は神坂雪佳の実の弟。

つまり、こちらは実の兄弟による合作です。

そういえば、尾形光琳も、実の弟で、

陶芸家である尾形乾山との合作を多数残しています。

こんなところも「光琳の再来」なのですね。

 

 

さてさて、展覧会のラストで紹介されていたのは、雪佳の絵画作品の数々です。

 

 

 

やはり何といっても一番目を惹かれたのは、《杜若図屏風》

 

 

神坂雪佳《杜若図屏風》 二曲一双 紙本金地著色 大正末~昭和初期 個人蔵

 

 

言わずもがな、尾形光琳の国宝《燕子花図屏風》をオマージュした作品です。

しかし、ただそっくり真似るのではなく、

白いカキツバタを加えるというオリジナリティをプラス。

光琳の作品よりも余白を増やすことで、

よりスタイリッシュで洗練された印象に仕上がっていました。

 

それと、もう一点目を惹かれたのが、《金魚玉図》

 

神坂雪佳《金魚玉図》(部分) 絹本著色 明治末期 細見美術館蔵

 

 

金魚を真正面からデカデカと描いた斬新な掛軸です。
愛しさと切なさと気持ち悪さと、

が共存しているような不思議な味わいがあります。
プカプカと泳ぐ金魚の姿を眺めるだけでも、涼しげな気分になりますが、
よしずをイメージしたという表装のおかげで、より涼しげな気分になれました。
そういう意味では、出来れば、夏に観たかった作品です。

 

 

 ┃会期:2022年10月29日(土)〜12月18日(日)
 ┃会場:パナソニック汐留美術館
 ┃https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/22/221029/.html

~読者の皆様へのプレゼント~ 
“神坂雪佳展”の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。 
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。 
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、11月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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