昨年2021年に創設50周年を迎えた、
元・公共広告機構こと、ACジャパン。
それを記念して、現在、日本で唯一の広告専門ミュージアム、
アド・ミュージアム東京では、“ACジャパン50周年広告展”が開催されています。
ACジャパンが誕生したのは、
大阪万博の翌年である1971年のこと。
サントリーの社長であった佐治敬三がアメリカを訪れた際、公共広告によって、
公共マナーや環境問題といった国民の公共意識を高めるアメリカACの存在を知り、
日本でも同じような活動をできないかと考えたのが、その設立のきっかけでした。
関西公共広告機構として、114の会員数でスタートし、
2021年現在では、その会員社は実に1000社を超えているそう。
これまでに約800の広告キャンペーンを行ってきました。
会場では、その中から代表的な広告を、
厳選して、パネルやCM映像を交えて紹介。
ACジャパン50周年史がイッキ見できる展覧会となっています。
ところで気になるのは、
ACジャパンのCM第一号。
一体どんな内容だったのでしょうか?
出演していたのは、意外な人物でした。
「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」でお馴染みの淀川長治さん。
内容は、タバコのポイ捨てに関するものでした。
タバコのマナーに関するCMは、
今はJTが率先して(?)行っているため、
ACで取り上げられていたことに時代を感じます。
そうそう時代を感じたと言えば、こんな広告も。
「げんこつおやじ、賛成です」という広告。
反対派の意見も掲載されているのが、まだ救いですが。
たぶん、いや、間違いなく、
2022年なら、この広告は炎上案件です。
1970年代のもので特に印象的だったのが、
1975年の「老いは待ってくれない」という新聞広告。
『ひとり暮らしの老人が増えている』だの、
『やっぱり4人に3人は、定年後も働かないと食べてはいけない』だの、
現代とまったく変わらない事象が警告されていました。
先見の明がある広告だったとも言えますし、
高齢化社会の問題が50年経っても何ら解決していない、とも言えますし。
なんとも複雑な気持ちになりました。
会場では他にも、時代を彩った、
懐かしいACジャパンの広告が取り揃えられています。
それらの中には、10年近く前に、
山ほど観たあのACジャパンのCMや、
SNSを中心に話題となっている現在放映中のCMもありました。
さらに、意外と知られていないですが(僕も初めて知りました)、
実は、多くの学校が参加するACジャパン広告学生賞なるものもあるそうで。
会場では、そのグランプリ作など、
歴代の代表的な受賞作品も紹介されていました。
なお、これらACジャパンの50周年分の広告は、
会場内に数点設置されているタブレットで観ることが可能となっています。
ちなみに。
一度観始めたら、最後。
興味深かったり、懐かしかったり、で、
視聴する手が止められなくなってしまいます(笑)
ただし、他に観たい方がいらっしゃる場合は、ちゃんと譲ってあげましょう。
それが公共マナーです。
最後に。
個人的に思い出深いACジャパンのCMを3つご紹介いたしましょう。
まずは、こちらのCM。
迷惑行為が誰かに迷惑をかけ、
その人の迷惑行為が、さらに次の人へ。
そして、最終的にはループするという、よく出来たCMです。
子どもの頃に何度となく、このCMを観ました。
ラジカセ、でかっ!
続いては、こちら↓
最近、絵本化もされたという、
ACのCMの中でも屈指の名作。
1分半ながら、1本の短編映画を観たような充実感があります。
ラストは、こちらのCM↓
ちょっとしたボランティアをした人のもとに、
いきなり女性が現れ、「ナイスちょボラ!」と声をかけ、
謎のぬいぐるみを手渡して去っていく、というシュールなCMです。
ちょボラぬいぐるみを貰った人は、ただ戸惑うばかり。。。
むしろ、ちょボラを押し付けている女性の公共マナーを問いたくなります。