国立科学博物館で開催中の“特別展「毒」”に行ってきました。
こちらは、国立科学博物館では、
開館以来初となる「毒」をテーマにした特別展です。
毒をテーマにした展覧会だけに、
会場内は、いつになく毒々しい雰囲気に。
まずは、巨大なスズメバチと口を開けたハブがお出迎え。
日本3大有毒植物を筆頭に毒を持つ植物の数々や、
冬の味覚フグをはじめとする毒を持つ魚たちといった生物毒から、
鉱物や自然に含まれる毒、さらには人工毒まで。
会場には、ありとあらゆる毒が集結していました。
こんな毒だらけの展覧会、果たして、人が集まるのだろうか?
・・・・・と思いきや、大盛況も大盛況!
ファミリーやカップル、年配の方など、
老若男女問わず、人気を博しているようです。
実は、意外と、みんな毒が好き。
今年のM1で、井口の毒舌が観客の心を掴み、
ウエストランドが優勝したのも必然なのかもしれません。
さて、そもそも毒とは何なのでしょう?
今回の展覧会では、その定義を、
「ヒトを含む生物に害を与える物質」としています。
そう考えると、日常生活の中にはたくさんの毒があるようで。
『混ぜるな危険』の塩素系洗浄剤も毒なら、
アレルギーの原因となるネコの毛も毒だそう。
さらに、人間にとって毒ではなくても、
ピーナッツはイヌにとっては毒とのこと。
世界は毒に満ちていたのですね。
良くも悪くも、世界の見え方が変わる展覧会でした。
今展では、毒を持つ様々な生物が紹介されていましたが、
中でも個人的に一番印象に残っているのが、毒を持つ鳥です。
その名も、ズグロモリモズ。
パプアニューギニアに生息している鳥です。
1992年に、このズグロモリモズが、
鳥類としては唯一となる毒を持つ鳥であることが判明しました。
羽根や皮膚にバトラコトキシン類の毒を持っているそうです。
なお、自身で毒を生成するわけではなく、
毒を持つ昆虫を食べることで溜め込んでいるのだとか。
カービィみたいなシステムですね。
なお、哺乳類でも毒を持つものが存在しています。
その筆頭が、カモノハシ。
なんでもカモノハシの後ろ足には、
「けづめ」と呼ばれる爪があり、その爪から毒を出すのだそう。
小動物であれば、死に至らしめることができるそうです。
知らなんだ!
もし、この展覧会を観てなかったら、
カモノハシが目の前に現れた際には、
「カワイイ~♪」とナデナデしようとしたことでしょう。
そして、けづめで毒を注入され、重症になっていたはず。
触らぬカモノハシに祟りなし、です。
とはいえ、カモノハシの毒を食らうと、
実際はどれほどの痛みがあるものなのか。
怖いもの見たさで、知りたい気持ちもあります。
カモノハシではないですが、
どのハチに刺されるのが一番痛いのか、
自ら刺されてみることで、痛みを数値化した人物がいるそう。
それは、アメリカのジャスティン・シュミット博士です。
彼が生み出したシュミット指数とは、
ハチ・アリ類に刺されたときの痛みを数値化したもの。
レベル2は、燃えたマッチ棒が落ちてきてやけどした腕に、
まず苛性ソーダをかけ、次に硫酸をかけたような痛みとのこと。
レベル4の痛みともなると、泡風呂に入浴中、
通電しているヘアドライヤーを浴槽に投げ込まれて感電したみたいだそうです。
・・・・・・・いや、どっちも経験したことないわ!
結局、どれくらいの痛みなのか、よくわかりません。
ちなみに。
展覧会全体を通じて、もっとも、
お客さんが多く関心を寄せていたのは、
毒キノコの展示コーナーだったように思います。
ワライタケにベニテングダケに。
それらに混じって、こんな毒キノコもありました。
牛が食べて死亡した例もあるという最強の毒キノコです。
その名も、ウツロイイグチ。
キノコ界のイグチも強い毒の持ち主のようです。