2022年もっとも人気を博した展覧会。
といっても過言ではないトーハクの国宝展が、
つい先日12月18日、熱狂のまま閉幕を迎えました。
実はその陰で同じトーハクの中でひっそりと(?)、
表慶館を舞台に、もう一つの国宝展が開催されています。
その名も、“150年後の国宝展―ワタシの宝物、ミライの宝物”です。
こちらの展覧会で展示されているのは、
国宝は国宝でも、「150年後の国宝候補」の数々。
今や海外でも人気の“世界のGodzilla”こと『ゴジラ』に始まり、
オリンピックの正式種目にも選ばれた日本発祥のスポーツである競輪、
1996年に発売された当時、社会現象にまでなった「たまごっち」、
さらに、ガンダム、プリキュア、キティちゃんと、
「150年後の国宝候補」が次々に紹介されていきます。
ちなみに。
展示されているキティちゃんのぬいぐるみは、
キティちゃん誕生の翌年に作られたという貴重なぬいぐるみ第1号とのこと。
国宝にはまだ早いかもしれませんが、
重要文化財に指定してもいいのではないでしょうか。
他にも、今や国民的エンターテインメントとなった漫才や、
今や生活に欠かせないライフラインともなったコンビニ(日本第一号はセブンイレブン豊洲店)、
耐久性・燃費に優れ、気軽に乗れるHondaのスーパーカブC100など、
“なるほど。それは国宝になる可能性は無くはないかも”な展示品もありましたが。
ポカリスエットや湖池屋のポテトチップス、キッコーマンの醤油など、
それを言ったら、カルピスや森永のミルクキャラメル、
日清のカップヌードルなんかも150年後の国宝候補に入れるべきでは?
と、ちょっとモヤモヤする展示品もありました。
さらに候補の中には、東急グループの街づくりや、
西新宿にある新宿住友ビルなんてものも含まれています。
いや、さすがに、これはもう完全にアレですよね。。。
国立の博物館で、ワタシは一体何を観させられているのでしょう??
企業案件。
それもまた、150年後に国宝になっているかもしれません。
正直なところ、星なしでもいいかなと思いましたが、
「ワタシの宝物、ミライの宝物」というテーマで行われた、
一般公募の結果を紹介する一般部門がわりと面白かったので、星1つ。
手塚治虫作品やファミリーコンピュータといった、
リアルに遠い未来、国宝になりそうなものもありましたが。
おばあちゃんのレシピや学生時代の英単語帳など、
応募者のパーソナルな思い出が詰まったモノが大半を占めていました。
その中でも特にインパクトがあったのが、
とある煮干しコレクターによる「日本各地で集めた煮干しのコレクション」。
一般的なカタクチイワシの煮干しはもちろんのこと、
カマスやタチウオ、タイといった珍しい煮干しの数々が、
まるで昆虫の標本のようにディスプレイされていました。
どうして煮干しをコレクションしようと思ったのか。
そして、どうしてこの展覧会に応募したのか。
想像すれば想像するほど、ジワジワ味が出てきました。
さすが煮干し。
それから、個人的にささったのが、キーホルダーのコレクション。
こちらは、その昔、応募者のお父さんが、
出張先で買ってきてくれたキーホルダーとのこと。
そういえば、自分の父も出張が多く、
よくキーホルダーを買ってきてくれてました。
キーホルダーのデザインはどうでもよくて、
お土産を買ってきてくれたということが、ただただ嬉しかったなァ。
そのことを思い出せたのに関しては、この展覧会に感謝です。