2009年“日常/場違い”。
2011年“日常/ワケあり”。
2014年“日常/オフレコ”。
過去に神奈川県民ホールギャラリーにて、
開催され、話題となった「日常」3部作シリーズ。
あれから8年の時を経て、このたび復活しました。
気になる新作のタイトルは・・・・・
アフターコロナの展覧会ゆえでしょうか、
あの頃の“日常”はどこかへ行ってしまったようです。
と、それはさておき、参加作家は全部で7人。
メンバーの中には、フランス在住の映像・写真作家シンゴ・ヨシダさんや、
実際には存在しない岩石島をモチーフに描く山嵜雷蔵さん、
シュールでキッチュな世界観を作り出す笹岡由梨子さんなどが名を連ねています。
映像あり、絵画あり、インスタレーションあり。
よく言えば、さまざまなジャンルが楽しめる夢のような展覧会でした。
ただ、個人的な率直な感想としては、
あまりにも7人の作品が、ジャンルも作風もバラバラだったような。
グループ展を観たというよりは、
7つの個展を、オムニバス形式で観たかのような印象を受けました。
展開の脈絡の無さは、まさに夢の如しです。
それ以上に、残念だったのが、
会場にキャプションが一切なかったこと。
ハンドアウトに作家や作品名などは記載されていますが、
作品そのものに関する情報、説明は一切ありませんでした。
青山悟さんの《Just a piece of fabric》や、
角文平さんの《Monkey trail》など、
見るからに面白そうな作品は、いくつかあったのですが、
ノーヒントなので、何を表している作品なのかは結局わからずじまい。
じーっと観ていれば、意味がわかる。
そんな夢みたいな現象は起きませんでした。
とはいえ、印象に残った作品もちゃんとあります。
まずは、パリを拠点に活動する油彩画家・枝史織さんの作品群です。
初めて観るのに、初めて観た気がしない。
かといって、デジャヴというわけでもない。
不思議な感覚を覚える作品群でした。
強いて言うなら、現世ではなく前世で、
いや、前前前世で観たことがあるような。
もしくは、太古の人類が目にした光景で、
それがDNAに刷り込まれているかのような。
ともあれ、人智を超えた印象を受ける作品群でした。
それからもう一つ印象的だったのが、
林勇気さんの《Another World—vanishing point》。
ギャラリーの巨大な吹き抜け空間を、
フルに活用した映像インスタレーション作品です。
プロジェクターで映し出されていたのは、何の変哲もないアイテムの数々。
それらが宇宙のような空間に漂っています。
最初はゆっくりと移動していますが、徐々にスピードアップ。
ビュンビュンと空間内を駆け巡り、最終的には消滅します。
その一連が繰り返される、
ただそれだけの作品なのですが、
不思議なトリップ感、中毒性がありました。
某ランドのスペースマウンテンをどこか彷彿とさせるような。
この作品が観られただけでも、
“ドリーム/ランド”に行って良かったです。
この新たな企画展シリーズ、
次回があるとしたら、“ドリーム/シー”でしょうか。