“博物館に初もうで”でトーハクを訪れたら、
思いがけず、本館でこんな展覧会が開催されていました。
奈良市にある日本最初の国立寺院、
大安寺に伝わる貴重な仏像の数々を紹介する展覧会です。
出展作品は、15件。
うち、仏像は、8件。
それだけ聞くと、「少なっ!」と思うかもしれませんが。
大安寺よりお越しいただいた仏像8件のうち、
江戸時代に制作されたという《弘法大師坐像》以外・・・・・、
7件が重要文化財に指定されています。
まさに、量より質の仏像展。
そんな仏像展が、総合文化展(=平常展)のチケットで観られるなんて!
大安吉日。こいつぁは春から縁起がいいわえ、です。
さて、今回出展されている、
大安寺蔵の重要文化財の仏像はすべて、
現存作例が少ない奈良時代に作られたものばかり。
しかも、すべて一木造です。
どの仏像も、平安時代の仏像のような、
優美さや穏やかさこそありませんでしたが、
どこか素朴でおおらかで、野性味のようなものを感じました。
特に《四天王立像》は、体格が地方プロレスのレスラーのよう。
ポージングも皆一様にレスラーのようでした。
7体の重要文化財の仏像のうち、
個人的に一番印象に残っているのは、《楊柳観音菩薩立像》。
柳の枝を手に持つ観音菩薩です。
観音様というと、一般的には、
女性的で穏やかな表情を浮かべているものですが。
大安寺の《楊柳観音菩薩立像》は、
歯をむき出しにして、憤怒の表情を浮かべています。
その迫力ある表情といい、
ちょっと荒々しい彫り方のタッチ(?)といい、
漫☆画太郎の漫画に登場するババアを彷彿とさせるものがありました。
レスラーのような四天王像よりも、
むしろ、こちらのほうが強そうな気がします。
そんな《楊柳観音菩薩立像》とは対照的に、
表情が薄い・・・いや、ほぼ無だったのが、《聖観音菩薩立像》。
あまりにも表情が無さすぎて、
観ているこっちが心配になってしまうほど。
ちょっと梅沢富美男に似ています。
俳句にダメ出しされている時の。
それからもう1体、印象的だったのが、
ちょっと草野仁似の《不空羂索観音》です。
何より気になったのは、
背後から伸びた6本の腕。
妙に短くて、なんかバランス悪いような。。。
しかも、遠慮しているのか、妙に控えめ。
手を広げるなり、伸ばすなり、もう少し主張しても良いような。。。
最後に、余談も余談ですが、
古い日本の立体造形物繋がりで、
トーハクの考古展示室で見かけた気になる埴輪をご紹介。
トゲトゲがいっぱいついた家形埴輪です。
おそらく、日本一危険な家形埴輪でしょう。
排除アートみたいな家形埴輪です。