現在、菊池寛実記念 智美術館では、
不定期に開催される菊池コレクション展の最新作として、
“現代のやきもの 思考するかたち”が開催されています。
こちらは、やきものの「かたち」に注目し、
菊池コレクションの名品の数々を紹介する展覧会です。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
出展作品は、約50点。
それらの中には、現代陶芸界のトップランナー・新里明士さんや、
近年人気急上昇中の“20世紀陶芸界の鬼才”加守田章二、
加守田と同じく、現代陶芸の鬼才と称される栗木達介など、
現代陶芸界のスター選手の作品が勢ぞろいしています。
いうなれば、現代陶芸界の侍ジャパンです。
さらに、出展作家の中には、
あの司馬遼太郎が「天才」と称した陶芸家、八木一夫も。
八木一夫と言えば、オブジェ焼き。
オブジェ焼きといえば、八木一夫。
世の陶芸家が、皿や壺、花器といったやきものを作っていた時代に、
彼は用途を持たない純粋な造形、まるでオブジェのような作品を次々と発表していきました。
今展では、そんな八木一夫の《夜》という作品が出展されています。
中心に穴が開いているので、
お香立てくらいには使えるかもしれませんが、
たぶん、それ以上の用途はないでしょう。
あと、この作品が発表された1968年には、
存在していなかったはずですが、ヌーブラにしか見えませんでした。
と、それはさておき。
ここからは、特に個人的に印象に残った作品をご紹介いたしましょう。
まずは、近年コレクションに加わり、
今回初お披露目となる木野智史さんの《颪(螺旋)》から。
木野さんは今注目の若手陶芸家の一人。
特徴的なその造形は、フリーハンドで作ったわけではなく。
まず、ロクロを挽いて磁土で円環を作ったうえで、
半乾きの状態で一部をカットし、手でひねりを加えるなどして、
風や水流を彷彿とさせる美しい流線形のフォルムを生み出しているのだとか。
観ているだけで、軽やかな気持ちなりました。
続いては、前田正博さんの《色絵金銀彩鉢》。
いかにも伝統的でシブめ。
そんな作品名とは裏腹に、見た目はSo cute !
ゆるキャラ感がハンパありません。
キディランドあたりに売っていそうな感じです。
名前と作品のギャップといえば、中村錦平さんの《扁壷》も。
作品名も激シブ。
見た目も激シブ。
しかし、上の部分をよく見てみると・・・
これでもかというくらいに、「る」の字があります。
るーるる るるるるーるるるるるるーるーるーるーるーるるー
黒柳徹子が頭をよぎりました。
最後に紹介したいのは、大塚茂吉さんの《耳飾りの女》。
離れて観る分には、気づかないかもしれませんが。
大塚さんの作品は、その表面をよーく観てみると・・・・・
白い斑点で全体がビッシリと覆われていることに気が付きます。
これは、表面に白い点を釉薬などで描いているわけではなく。
穴を開けて、そこに白土を象嵌の要領で埋め込んでいるのだとか。
面倒臭っ!
ちなみに。
この《耳飾りの女》を真正面から観てみると。
アンミカがちらつきました。
「白土って200色あんねん」とか言ってそう。