現在、PARCO MUSEUM TOKYOで開催されているのは、
“TANAAMI!! AKATSUKA!! That‘s all Right!!”という展覧会。
86歳を迎えた現在もなお、現役で活躍する、
「美術界の生けるレジェンド」田名網敬一さんの最新個展です。
もし、田名網敬一さんの名前は知らずとも、
一度目にしたら忘れられないそのサイケデリックで、
強烈な個性を放つ画風は、きっと記憶のどこかにこびり付いているはず。
75年には日本版『プレイボーイ』誌の初代アートディレクターに就任、
近年では、ユニクロやアディダスといったブランドとのコラボも果たしています。
さて、そんな彼の最新展では、生前親交があったという、
あの国民的ギャグ漫画家・赤塚不二夫とスペシャルコラボ。
赤塚不二夫の娘である赤塚りえ子さん完全協力のもと、
『天才バカボン』や『ひみつのアッコちゃん』、『もーれつア太郎』など、
赤塚不二夫の代表作をモチーフに制作された新作の数々が展示されています。
会場は、まさにカオスそのもの。
アッコちゃんやイヤミといった、
赤塚不二夫が生んだ人気キャラクターも、
田名網さんの手にかかると、ご覧の通りに↓
すっかり、田名網ワールドの住人と化していました。
赤塚不二夫の原作自体も、相当にシュールですが、
田名網敬一×赤塚不二夫は、その何倍何十倍もシュール。
西から昇ったおひさまが東へ沈む。
そんな異世界に迷い込んでしまったような気持ちになりました。
なお、それぞれの絵をよくよく観てみると、
赤塚不二夫の漫画のキャラクターだけでなく。
ベティ・ブープやミッキーマウスといった他のキャラや、
浮世絵やポップアートといった美術のアイコンも散りばめられていました。
それらが、実に違和感なくまとまって・・・・・いや、
冷静に考えてみると、違和感しかはないはずなのですが。
実際の作品を鑑賞している際は、
まるでトリップしている感覚に陥っているのか、
不思議なほどに、違和感なく感じられるのでした。
ちなみに。
本展では、絵画作品だけでなく、
田名網さんによる立体作品も出展されています。
特に目玉と言うべきは、こちらのインスタレーション作品。
『天才バカボン』の1エピソード「整形手術の熊さんなのだ」に登場する、
顔を家にされてしまった男のキャラクターを茶室にした作品とのことです。
一応、茶室の中も窓から覗けたのですが。
わびもさびもへったくれもありません。
ただ、「これでいいのだ!」と、
押し切られてしまうような、妙な説得力はありました。
なお、この展覧会に合わせて、
田名網さんによる特装版作品集も制作されたようです。
お値段9900円也。
こうした書籍物が展示される場合、
どうしても開かれたページ以外は観ることが適いませんが。
今展では画期的な方法で、他のページも観れるようになっていました。
これはいいのだ!