武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の展覧会、
“相馬博 悠久と星霜の彼方”に行ってきました。
抽象的な回がで知られる武蔵野市在住の現代美術家、
相馬博さんの新作と旧作を合わせて展示する展覧会です。
こちらは、旧作の「光のライン」シリーズ。
黒い背景に日の出や夕焼けなどをイメージし、
明るい色彩のグラデーションで光を描いた作品シリーズです。
その「光のライン」シリーズが発展したのが、
黒い背景はそのままに、ラインが四角くなったた「window」シリーズ。
やがて、それが「circle」シリーズとなり、
より宇宙観を増して、「circle of life」シリーズとなり。
これまで主役だった光のラインや円がおぼろげになったことで、
背景もが主役となった「光と色の在処」シリーズが生まれたそうです。
そして、そんな「光と色の在処」シリーズのうちの一つで、
この展覧会のために描かれた出来立てホヤホヤの最新作が、こちら↓
展覧会のタイトルにもなっている《悠久と星霜の彼方》です。
相馬さんご本人の言葉によると、
「色彩と画面の深さ、そして時の流れをより強く描き上げた作品」とのこと。
パッと見、なんとなーくどの絵も、
同じ感じに思えたかもしれませんが、
そんなことは全然無いようです。はい。
・・・・・・とは言われたものの。
僕自身、正直なところ、
展覧会場に入っての第一印象は、
どれもこれも、似たり寄ったりなテイストだなァでした。
どの曲を聴いても、ファンキーモンキーベイビーズ。
どの曲を聴いても、Official髭男dism。
それに近いものがありました。
ただ、せっかく吉祥寺まで来たので、
パッと見て、パッと帰るのはいかがなものか。
とりあえず、絵にじっくりと向き合ってみることにしました。
しばらく、すると・・・・・
わわわ!!!
目が暗闇に慣れていくにつれ、
夜空の星が増えていくかのように。
黒一色にしか思えなかった背景が、
まるで夜空のような姿に変化していったのです。
のぺっとした黒一色の平面ではなく、
広がりや奥行きが感じられ、もはや空間のようにすら思えたほど。
画面の中に、夜空ノムコウが感じられました。
ちなみに。
相馬さんは絵の表面に、
何度もニスを塗り重ねているのだそう。
それにより、漆のような艶や、
滑らかさといった独特の質感を生み出しているのだとか。
確かに、星のようにも感じられますが、
蒔絵の螺鈿細工のようにも感じられました。
さらに、作品によっては、
宇宙は宇宙でも、天文学的な宇宙ではなく、
国宝の曜変天目を彷彿とさせるようなものも。
シンプルだけど、シンプルじゃない。
観れば観るほど、深みにはまる展覧会です。
余談ですが。
相馬さんの作品がシンプルで、
美しく、かつ哲学的でもあっただけに。
武蔵野市立吉祥寺美術館のロッカーの雑さが、際立っていました(笑)
張り紙の適当さとか、
ロッカーの上に備品が詰まれてる感じとか。
もしや、相馬さんの作品のせいで、
エントロピーが増大してしまったのかも(←適当)。