現在、千葉県立美術館で絶賛開催中の展覧会、
“山下麻衣+小林直人−もし太陽に名前がなかったら−”に行ってきました。
千葉県出身、千葉県在住のアート・ユニット、
「山下麻衣+小林直人」の、国内では過去最大規模となる個展で、
初期作から未発表作、最新作までが一堂に会しています。
会場でまず、イントロダクション的に、
紹介されていたのが、《積み石》という映像作品。
小林さんが石のように寝転んで、
その上に、山下さんが石のように寝転んで。
そんな2人の周囲を自由に動き回っているのは、飼い犬のアンちゃん。
しばらくそのシュールな光景を眺めていた次の瞬間!
アンちゃんが、2人の上に乗りました!!
そして、さらに・・・・・
同じようなポーズを取りました!!
映像はこれにて終わり。
冷静に考えたら、「だから何?!」、
「仮装大賞の演目?『13番 鏡もち』的な?」となりそうなものですが、
2人と1匹が一体となった瞬間、謎の感動を覚えました。
と、これ以外にも、いや、これ以上に、
山下さんと小林さんは、身体を張って作品を制作しています。
例えば、こちらはドイツ滞在時代の初期作、《1000 WAVES》。
砂浜に打ち寄せる波の数をただひたすら、
1000になるまでカウントし続けるという映像作品です。
また例えば、こちらの《A Spoon Made From The Land》という作品。
まるで伝説の剣のごとく、
巨大な砂山の上に刺さっているのは、一本のスプーン。
一見すると何の変哲もないただのスプーンのようですが、
背後の巨大なスクリーンに、そのメイキング映像が投影されています。
実は、このスプーンは、お二人が九十九里浜にて、
一日かけてひたすら砂鉄を集め、それをもとに作ったものなのです。
『トリビアの泉』とか『爆笑問題のバク天!』とか、
往年のバラエティ番組を彷彿とさせるものがありました。
誰に頼まれたわけでもないのに、
しかも、芸人でもユーチューバーでも無いのに、
身体を張ってチャレンジ企画(?)に挑む。
それが、「山下麻衣+小林直人」です。
なお、コロナ禍をテーマに制作されたという最新作、
《NC_045512》は、現時点でのその集大成とも言うべき作品でした。
リモートワークの背景を想起させる画面に合成されていたのは、
山下さんが読み上げたアルファベットを小林さんがひたすら書き続けていく映像です。
なお、書かれているアルファベットA、T、G、Cの4字は、
最初に検出されたCOVID-19ウイルスのゲノム情報の塩基配列とのこと。
それを小林さんは、なんと約13時間もかけて書き切ったのだとか。
実際のウイルスも、ある意味こんな風に、
ゲノム情報を複製して、増殖していくわけです。
そう思って観てみたら、小林さんの頭が、
コロナウイルスのシルエットのようにも見えてきました(笑)
ちなみに。
そんな作業を約13時間行っていただけでも、狂気の沙汰ですが、
この狂気の映像が投影されているスクリーンもまた、狂気の沙汰の産物。
2000枚のガーゼマスクを作家自ら、1枚1枚縫製して作り上げたものだそうです。
ちなみにちなみに。
アルファベットを書いている様子は、
ほぼそのままノーカットとのことなので、
もし仮に、映像をすべて観るとしたら、約13時間かかります。
我こそは、「山下麻衣+小林直人」ばりの、
チャレンジ精神の持ち主だと自負する皆さま、
《NC_045512》のフル視聴にチャレンジしてみては?