現在、埼玉県立近代美術館では、
“戸谷成雄 彫刻”という展覧会が開催されています。
こちらは、現代彫刻家の生けるレジェンド、
戸谷成雄さん(1947~)の大規模な最新個展です。
長野県に生まれ、1998年より、
埼玉県秩父郡にアトリエを構えているという戸谷さん。
四半世紀ほど、埼玉県を拠点に活動しているものの、
意外にも、今展が埼玉県における初の美術館個展とのことです。
さてさて、こちらの展覧会、実は先行して、
昨年11月から今年1月29日まで、戸谷さんの生まれ故郷、
長野県にある長野県立美術館で開催されていました。
そちらで拝見済なので、正直なところ、
埼玉では観なくてもいいかなァとも思っていたのですが。
一応、念のために観に行ってみて、正解、いや大正解でした!
というのも、もちろん長野県美で展示されていた作品もあったのですが。
当たり前といえば、会場が違うので当たり前なのですが、
長野県美とは違う配置、取り合わせで展示されていました。
同じ作品であるはずなのに、
展示場所や取り合わせが変わるだけで、
こんなにも印象が変わるのかと、新鮮な驚きがありました。
ちなみに。
高さ2.2mもある巨大な立方体の《洞穴体Ⅴ》は・・・・・
地下1階から地上3階までを貫く、
巨大な吹き抜け空間に展示されています。
見下ろしてみると、なかなかの高さ。
高所恐怖症の方は、鑑賞の際、
くれぐれもお気を付けくださいませ。
そして何より、特筆すべきは、
卒業制作として発表された《男Ⅰ 斜面の男》をはじめ、
埼玉近美でしか展示されない作品が、たくさんあったこと。
それらの中には、5点1組の絵画や、
約40年ぶりの公開となる映像作品も。
出展作品の半数近くが、
長野県美での展覧会と、入れ替わっていました。
これはもはや巡回展というよりも、
まったく別の戸谷成雄展と言っても過言ではありません!
長野県美での展覧会を観逃した方はもちろん、
長野県美ですでに観たという方にこそ、足を運んでいただきたものです。
なお、これは僕の個人的な感想ですが、
作品そのものは、ラインナップは違えども、
長野県美と埼玉近美とで、そこまで差はなかったように思えます。
が、戸谷さんの作品を展示する空間としては、
長野県美のほうが、適していたような気がしました。
というのも、これまであまり意識したことがなかったのですが、、、
埼玉近美の展示室って、
床の感じといい、壁の感じといい、
なんかオフィスの会議室っぽくないですか?
そのオフィスっぽい雰囲気が、
戸谷さんの彫刻のプリミティブさと、
微妙にマッチしていなかったように思いました。
ちなみに。
埼玉近美だけの出展作品の中で、
特に印象に残っているのは、こちらの《地下へⅡ》です。
《地下へⅡ》というタイトルから察するに、
大地に根付く根っこ的なものがモチーフなのでしょうか。
色味といい、プロポーションといい、
目に飛び込んできた瞬間は、セクシー大根かと思いました。
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