昨年9月。
鶴岡八幡宮へと通ずる鎌倉のメイン通り、
若宮大路に新たなミュージアムがオープンしました。
その名も、英国アンティーク博物館【BAM鎌倉】。
(BAM=BRITISH ANTIQUE MUSEUM)
若き日に初訪問した英国文化に強い衝撃を受け、
日本屈指の英国アンティークコレクターとなった土橋正臣さんが、
約30年に渡って集めた約1000点のアンティークを展示するミュージアムです。
展示室は、2階から4階までの3フロア。
「ジョージアン時代」や「ヴィクトリア時代」などと、
名付けられた部屋にそれぞれ、ぎっしりとアンティークが展示されています。
あまりにも画力が強すぎるので、
“本当に本物?ディズニーランドのアトラクション?”
と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、もちろんすべて本物。
貴重な英国アンティークばかりです。
ちなみに。
展示室内に何気なく設置されていたアンティークな雰囲気の階段も、
ミュージアム脇に設置されてたテレフォンボックスも、レプリカではなく本物。
どちらも、実際にイギリスで使われていたものだそうです。
(わざわざイギリスから鎌倉まで運んできたのですね!)
なお、さすがに、2階~4階までの階段の、
壁一面に飾られていた絵画はレプリカだろう・・・・・と思いきや。
名も無き画家が描いたとはいえ、
どれもすべて本物の絵画とのことです。
展示の仕方のせいなのか、
それとも展示場所のせいなのか。
本物が本物に見えない、というある意味、新鮮な体験をしました。
と、それはさておき。
英国アンティーク博物館の目玉は、
何と言っても、3階のシャーロック・ホームズの部屋です。
物語に登場する時代の本物の家具や椅子、
調度品などでホームズの部屋を再現したという渾身の展示。
シャーロキアン(熱狂的なシャーロック・ホームズファン)には夢のような空間となっています。
また、貴重な『シャーロック・ホームズ』の初版本や、
ホームズの生みの親コナン・ドイルの直筆の手紙も。
さらに、ちょっと・・・・・いや、
だいぶ怖かったですが、ホームズの蝋人形もありました。
(なぜか、評論家の宮崎哲弥似の)
鎌倉で英国アンティーク。
正直なところ、中に入ってみるまで、ミスマッチな印象でした。
実際に観てみたところ、やはりミスマッチはミスマッチでした(笑)。
ただ、王室御用達の靴メーカーであるジョン・ロブの大量の木型や、
“蓄音機のロールスロイス”とも言われるE・M・ジーン社の巨大な蓄音機など、
本物のアンティークの持つ風格は、
やはり圧倒的なモノがあり、有無を言わせぬ力がありました。
ここが鎌倉だろうが何だろうが、良いものがあれば関係ない。
それが、英国アンティーク博物館【BAM鎌倉】です。
ちなみに。
この美術館を設計したのは、
おそらく日本一美術館を設計している建築家、
根津美術館やサントリー美術館でお馴染みの隈研吾さんです。
こちらの表面のファサードのデザインは、
鎌倉彫からインスピレーションを得たものとのこと。
へー。
また、展示のラストには、隈研吾さんがデザインした立礼式の茶室も。
壁に使われているのは、ミュージアムがある土地を、
発掘調査した際に出土した鎌倉時代のものと思われる木材、
さらに、壁紙に使われている和紙には、
この土地から掘り起こした土が漉き込まれているそうです。
ふーん。
英国アンティーク100%かと思いきや、
ちょっとだけ、鎌倉要素も取り入れていました(←?)。
最後に、数多くの英国アンティークの中で、
個人的に特に印象に残ったものをご紹介いたしましょう。
一見すると、ただの木の椅子のようですが、
こちらは、なんとおまるを入れて使うトイレなのだそうです。
蓋が何重にも閉まるようになっており、蓋を閉めれば、
室内に置いておいても、そこまで匂いが気にならないのだとか(本当かなぁ?)。
なお、当時は今のような下水道はなかったため、
中に溜まったものは、外に捨てに行っていたのだとか。
現代の日本に生まれて良かった。
心の底からそう思いました。