銀座メゾンエルメス フォーラムで現在、
開催されているのは、“インターフェアレンス”という展覧会。
インターフェアレンス?
初めて耳にする英単語に戸惑っていると、
会場の一角で、その意味がご丁寧に紹介されていました。
・・・・・とのこと。
今展では、僕らの身体に日常的に干渉しているもの、
例えば、光や振動、波動といったゆらぎの感覚を通じて、
知覚探究を試みるアーティスト4人が紹介されています。
まず紹介したいのは、フランシス真悟さん。
今展では展覧会タイトルと同名の「Interference」シリーズが展示されています。
一見すると、何の変哲もない抽象画のように思えます。
しかし、観る角度を変えてみると・・・・・
ご覧の通り、色がガラッと変わりました。
実はこれらの絵画は、光干渉顔料という特殊な顔料で描かれています。
そのため観る角度や光の変化で、違う表情を見せるのです。
今回の展覧会の会場には、
そんな「Interference」シリーズ初となる大型作品もお目見え。
残念ながら、写真では全然伝わりませんが、
壁全体がなんとも淡く、言葉に表せない光を放っていました。
大画面で迫力があるはずなのに、印象は実に繊細。
アンビバレントな味わいの作品でした。
続いて紹介したいのは、宮永愛子さん。
宮永さんといえば、ナフタリンを使った立体作品が有名ですが、
今展ではナフタリンを封印し(?)、《Voyage》という新作を発表しています。
全体的に謎めいていて、今一つよくわかりませんでしたが。
どうやら、2021年にコロナ禍で行われた、
宮永さん発案のオンライン茶会をインスタレーションにした作品であるよう。
会期中、毎月21日に実際に茶会が開催されるそうなので、
それに参加できれば、いろいろ謎が解決するような気がします。
3人目に紹介したいのは、スザンナ・フリッチャー。
ウィーン生まれ、現在はフランスを拠点に活動するアーティストです、
彼女は今回のために新作サウンドインスタレーション《Pulse》を制作。
パッと見、何もない空間に思えるかもしれませんが、
よーく目を凝らしてみると・・・・・
空間内に無数の糸が縦横に張り巡らされているのがわかります。
あと、アキラ100%の股間を隠すお盆を巨大化させたようなものもありました。
さらに、ガラスブロックの近くには、複数の白いモーターも。
これらのモーターの振動や観客の接触によって、
空間内にあるシリコン製の糸は絶えず揺らいでいました。
また、巨大な銀の円盤によって、
空間内の振動や波動が音にも変換されています。
目に見えないはずのものが可視化&可聴化される。
シンプルながら、奥深い作品です。
日中の太陽光が差し込む中で味わうのも良かったですが、
日が暮れてから、夜の銀座を背景に味わうのもまた一興でした。
最後に紹介したいのは、フランス生まれで、
現在は京都を拠点に活動するブルーノ・ボテラです。
会場に入ってまず目に飛び込んできたのが、
彼の《ニクテメール(生理的な24時間》という作品です。
クロムメッキ塗装された鉄板の上に乗っていたのは、青くて透明な丸い何やら。
その正体は、傷がついたコンタクトレンズとのこと。
これまで数え切れないほどの美術作品を観てきましたが、
コンタクトレンズを素材にした作品には初めて遭遇しました。
傷ついたコンタクトレンズが何を意味しているのか?
どうしてコンタクトレンズが鉄板の上に乗せられているのか?
自分なりに考えてみましたが、何も見えてきませんでした。
コンタクトレンズが壊れているだけに(←?)。
なお、こちらもブルーノ・ボテラの作品です。
といっても、普通に、鑑賞者は入っちゃいけない、
関係者以外立ち入り禁止の場所への扉だと思ったので、
目の前を通りながら、何度もスルーしてしまいました。
そうやって何度目かのスルーをしたところ、
扉の右脇にキャプションが設置されているのを発見。
思い切って、扉を開けてみました。
すると、その先に、本物の扉がありました。
また、左を覗いてみると、こんなものが設置されています。
振り向かずに後ろが見えるミラーが、
わざわざ設置されているということは、反対側にも何かあるはず。
そう思って、右手を見てみると、足元にこんなものがありました。
具体的には何が何だかわかりませんが、
とりあえず美術作品であることだけは確かなようです。
ちなみに。
会場内の扉に擬態(?)していた、
ブルーノ・ボテラの作品はもう一つあります。
そちらの方の扉を開けてみると、
その内部には、コンタクト用食塩水がありました。
あ、だから、会場の入り口に、
カピカピに乾いたコンタクトレンズがあったのか!
・・・・・って、何だその伏線回収は。