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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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北斎バードパーク

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昨年の今頃、すみだ北斎美術館では、

北斎やその門人たちが描く「花」に着目した展覧会が開催されていましたが。

現在開催されているのは、“北斎バードパーク”

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

北斎やその門人たちが描く「鳥」にスポットを当てた展覧会です。

「花」「鳥」ときたので、来年はおそらく「風」、

その次の年は「月」をテーマにした展覧会が開催されるかもしれません。

 

と、そんな予想はさておきまして。

展覧会では、鳥が描かれた浮世絵や書籍など、

前後期で展示替えをしつつ、113点も出品されています。

 

 

 

それらの中には、北斎による肉筆画も。

 

 

 

こちらは、そのうちの1点。

 

葛飾北斎《杜鵑》 すみだ北斎美術館蔵(前期展示)

 

 

すみだ北斎美術館では今回が初公開となる《杜鵑》です。

鳴くまで待とうか。鳴かせてみようか。

そう考えるまでもなく、このホトトギスは、気持ちよさげに鳴いているようです。

もはやミュージカルのワンシーンのようにも見えてきました。

 

ただ、《杜鵑》を筆頭に、北斎の描く鳥は、

絵としてはとても面白いものの、鳥としてはどこか不自然なような・・・。

なんというか、飛んでる感じがしないのです。

例えば、こちらのスズメも。

 

葛飾北斎《芙蓉に雀》 すみだ北斎美術館蔵(前期展示)

 

 

また例えば、こちらのサンコウチョウも。

 

魚屋北渓『狂歌百花鳥』下 すみだ北斎美術館蔵(前後期で頁替)

 

 

あんなに波は臨場感たっぷりに描けるのに。

不思議と、鳥はそうでもありませんでした。

もしかしたら、北斎は鳥が苦手だったのかも。

そんなことを想像してしまう展覧会でした。

星

 

 

ちなみに。

江戸時代の人は鳥が好きだったようで、

ペットのウズラを巾着に入れて連れ出すといった鳥ブームがあったそうです。

さらには、鳥ブームに拍車をかけたこんな施設も。

 

丹羽桃渓『摂津名所図会』巻ノ二 個人蔵(通期)

 

 

孔雀をはじめとする珍しい鳥を集め、

客に茶を飲ませて見物させたという、その名も孔雀茶屋です。

今でも、フクロウカフェや鷹カフェなどありますが、

江戸時代から、似たような商売はあったのですね。

それにしても、人と比べて、孔雀が大きすぎる気がします。

お茶を吹き出すレベルです。

 

 

さて、ここからは、印象的だった作品を、

いくつかまとめてご紹介してまいりましょう。

まずは、『北斎麁画』に描かれている「蛇雉子を巻く」の図。

 

葛飾北斎『北斎麁画』 蛇雉子を巻く すみだ北斎美術館蔵(前期展示)

 

 

蛇が雉子の身体に何重にも巻き付いています。

したり顔の蛇に、目がイっちゃってる雉子。

雉子の大ピンチなのかと思いきや、伝承によると、

雉子は自身の体にあえて蛇を巻き付かせた後に、

強く羽ばたくことで、蛇の体を引きちぎって食べるのだそう。

何だそのハルクみたいな技?!

 

続いては、魚屋北溪の《三体三番続 真》

 

魚屋北渓《三体三番続 真》 すみだ北斎美術館蔵(前期展示)

 

 

一瞬、“どこに鳥が?”と思いましたが、

よく見ると、衝立や着物に鳥が描かれていました。

衝立の鳥が若干、ストームトルーパーのようです。

今展では、こうした鳥グッズが描かれた絵も紹介されていました。

 

また、珍しいところでは、こんな作品も紹介されていました。

 

すみだ北斎美術館蔵(通期)

 

 

画家の向井大祐さんと、

勝川ピーによる《竜田川に紅葉の図》です。

 

 

 

勝川ピーという謎の絵師の正体は、こちらのチャボ。

 

 

 

北斎が徳川11代将軍家斉の前で行った、

刷毛で長く藍を引き、その上に朱肉を足に付けたニワトリを放ち、

「是はこれ竜田川の景色なり」と述べたという伝説のパフォーマンス。

それを勝川ピー全面協力のもと(?)、2017年に実際に再現したのだそうです。

 

 

 

確かに、紅葉に見えなくもないですが、

向きによっては、クリオネにも見えました。

 

最後に紹介したいのは、『北斎漫画』に描かれたエトピリカ。

葉加瀬太郎がエトピリカを演奏すると、こんな感じになりますが↓

 

 

 

北斎がエトピリカを描くと、こんな感じになります↓

 

葛飾北斎『北斎漫画』八編 エトピリカ すみだ北斎美術館蔵(通期)

 

 

エトピリカというよりも、

アヒルにもウサギにも見える騙し絵のようです。

 

 

 

 

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