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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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中西夏之  韻 洗濯バサミは攪拌行動を主張する 擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑

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DIC川村記念美術館で開催中の
“中西夏之  韻 洗濯バサミは攪拌行動を主張する 擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑 に行ってきました。
タイトルが長いこと、この上なしの美術展です (笑)

こちらは、1950年末にデビューして以来、
日本現代美術界のトップを走り続けるアーティスト・中西夏之さん (1935~) を取り上げた美術展なのですが。
ただ単に代表作を並べただけのフツーの回顧展ではありません。
中西さんの初期の代表作 《韻》 シリーズと、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-韻 1959年 ペイント・エナメル・砂、合板 114.0×92.0cm 東京都現代美術館


中西夏之の代名詞ともいえる 《洗濯バサミは攪拌行動を主張する》 と、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-洗濯バサミは攪拌行動を主張する  1963/93年 カンヴァス、紐、洗濯バサミ 〔5点組〕
個人蔵 撮影:山本糾 / Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE



最新作である 《擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑》 の連作。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-擦れ違い/S字型還元


その3つの異なる時期のシリーズに絞って紹介するという、ちょっとした試みの美術展なのです。


さてさて、中西夏之さんと言えば、かつては、高松次郎、赤瀬川源平さんとともに、
ハイレッド・センターなる前衛芸術グループを結成していた人物として知られています。
(高松の 「高」 ・赤瀬川の 「赤」 ・中西の 「中」 で、 「ハイ・レッド・センター」)
そのハイレッド・センター時代には、
池坊会館の屋上から衣類やカバンなど様々なものを投げ落としたり、
銀座の街頭のマンホールや道路を、白衣にマスク姿で、雑巾や薬品で徹底的に磨き上げたり、
・・・と、アメリカのテレビ番組 『ジャッカス』 のようなことをされていました。
(もはやアーティストというよりは、芸人ですw)

また、ピン活動としては (←?) 、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-洗濯バサミは攪拌行動を主張する


無数の洗濯バサミを顔に付けて街を歩くというパフォーマンスをされていました。
(これは、もう完全に芸人ですw)


そのような (なぜ、そのような行動を取るのか) 理解には苦しむけども、
やっている行為自体は、単純な初期のパフォーマンスアートとは違って。
その後の中西さんの絵画作品は、哲学的過ぎて、かなり難解。

例えば、新作の 《擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑》 については、こう述べられています↓

 『相異なる方向へ向かう人が接近しすれ違う、その瞬間に薄膜の平面が認識できないだろうかという考えから絵画の垂直面が問い直されており、紫と白の色斑が絵画自体の生成や時間の集積を我々に知覚させます。これらの作品は、制作時期は異なりますが、「光」「時間」「反復」「拡散」といった絵画への問いにおける重要な要素を示しています。』 (展覧会HPより)

う~ん。難しい。。。(>_<)
それだけに、今回の美術展は、
“僕には難解で楽しめないかも…” と、多少危惧していました。

ところが!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場2


《擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑》 の連作が、
中西さんが実際にアトリエで使用しているイーゼルに乗せるという斬新な方法で展示されており、
哲学的なうんぬんは抜きにして、純粋に驚きのある美術展になっていました。

イーゼルとイーゼルの間をすり抜けながら、絵を観賞すると、
キャンバスに描かれた斑点が、ひょわひょわと動いているように感じるのは新鮮な体験でした。
この会場に行かないと味わえない、まさに新感覚の美術展。
星

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場


また、 《擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑》 と、
《韻》《洗濯バサミは攪拌行動を主張する》 のシリーズが3層のレイヤーのように重ねられたことで。
中西夏之展というよりも、3人の中西夏之展のような印象でした。
それもまた新感覚。


ちなみに、美術展に展示されているのは、3つのシリーズだけ・・・と思わせておいて (←?)
《垂曲線》 という独立した作品も展示されていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-垂曲線


「・・・ん、どこに??」

正解は、こちらです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-垂曲線


天井から垂れ下がるロープ。
これも、アート。

かつての芸人時代 (←?) の中西さんを彷彿とさせる人を食ったような作品で、僕は好きです (笑)




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