現在、東京都庭園美術館で開催されているのは、
“フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン”という展覧会。
フィンランド工芸の世界的に著名なコレクター、
キュオスティ・カッコネン氏のコレクションの中から、
選りすぐりのガラス工芸約140点を紹介する展覧会です。
フィンランドデザイン×東京都庭園美術館。
これ絶対相性いいやつ♪
ステキな空間に仕上がっているのが容易に想像できます。
なので、もはや展覧会に行かなくてもいいかなと思いましたが(←?)。
一応、確認として、東京都庭園美術館に足を運びました。
その結果は、言うまでもないでしょう。
フィンランドデザインと東京都庭園美術館の相性は抜群でした。
ここ近年、フィンランドデザインにスポットを当てた展覧会は多く開催されてきましたが。
むしろ、何でこれまで、東京都庭園美術館を、
会場にしてなかったのだろうと不思議になるくらいに、
フィンランドデザインと建物の雰囲気が絶妙にマッチしていました。
しかも、カッコネン氏の粋な計らいで、
展示されているガラス工芸には、テグスが貼られていません。
そして、ガラスケースにも入れられていません。
アアルト夫妻の《フィンランディア》もご覧の通り。
剥き出しの状態で展示されています。
平年よりも暑い今年の夏。
涼しい美術館の中で、
涼し気なガラス工芸を目にして、
身体も心も涼んでみてはいかがでしょうか?
さてさて、ここからは、今回出展されていた中で、
特に印象に残っているガラス作品の数々を紹介いたしましょう。
まずは、カイ・フランクの《ヤマシギ》。
こちらは、吹きガラスで制作されているのだそう。
ヤマシギの特徴的な斑紋は、気泡で表現されています。
どうやったら、吹きガラスで、こんな絶妙なフォルムと斑紋を再現できるのか。
観れば観るほど、不思議な作品でした。
不思議と言えば、ティモ・サルパネヴァの《サンボール》も。
一見すると、ただの球体かと思いきや、
内部をよく観ると、糸のようにガラスのストリングが3本張られています。
《ヤマシギ》以上に、作り方が謎。
もはやオーパーツのたぐいです。
なお、こちらの《森の太陽》も、ティモ・サルパネヴァの作。
こちらも一見すると、ただのプレートかと思いきや、
表面がまるで水面のように、ゆらゆらと揺らめいていました。
視点を動かすと、プレートもゆらゆら。
あまりにゆらめくので、見続けていると、若干酔いそうになりました。
ちなみに。
新館では、今まさに活躍中の、
現代のフィンランドのガラス作家が紹介されています。
その中でとりわけインパクトがあったのが、
ヨーナス・ラークソによるこちらのガラス作品です。
タイトルは、《傷痕》。
その名の通り、かつて不慮の事故に遭ったラークソが、
自身の体に残った無数の傷痕を見て、美しいと感じたことから、制作した作品なのだそう。
傷痕がモチーフとは、何とも痛々しい作品です。
パッと見た時は、アイスのパリパリバーでもモチーフにしているのかと思ったのですが。
最後に、そんなラークソの作品をもう一つご紹介いたしましょう。
タイトルは、《寿司》とのこと。
上海の一流寿司屋を訪れたことがきっかけで制作された作品なのだそうです。
いや、どんな寿司食べてんだよ?!
パプリカの寿司でも食べたんか。
ラークソには一度、上海ではなく、
日本のちゃんとした寿司屋を経験してもらって、
改めて、《寿司》という作品を制作して頂きたいものです。