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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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何があっても神を信じ続けるという奇跡。

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美術の世界には、奇跡を起こしたヒーローが数多く存在する。
もしも、そんな彼らにヒーローインタビューを行ったなら・・・?

 

 

インタビュアー(以下:イ)「放送席、放送席。
              こちらには、聖書の登場人物の中でも、

              屈指のやられキャラとも言われるヨブさんにお越し頂きました」

 

ヨブ(以下:ヨ)「あのー、僕ってそういうキャラなんですか?

         というか、何でここに呼ばれたのかよくわかってないんですけど…」

 

イ「まぁ、それはおいおい。そして、こちらにはさらに、

  その奇跡のプロデューサーともいうべき、神様にもお越し頂いております」

 

神「よろしくお願いいたします。

  いやぁ、本当、あのヨブ君は最高でしたよね」

 

ヨ「え?え?何の話ですか?マジでよくわかんないんですけど」

 

イ「そもそも、神様がヨブさんをキャスティングしたんですよね?」

 

神「そうなんですよ。ヨブ君なら絶対面白い結果になると思ってて。彼一択でしたね」

 

ヨ「だから何の話ですか?」

 

神「何て言ったって、ヨブ君は信仰心がスゴい!」

 

ヨ「まぁ、それは自覚ありますけど」

 

神「ある時の企画会議中にね、サタン君と、

  ヨブ君ほど信仰心の強い人間はいないって話になったんですよ」

 

イ「はいはい」

 

神「そしたら、サタンが、こう言うわけですよ。

 「それはヨブが金持ちだから信仰心があるに過ぎない」って」

 

イ「へー、ヨブさんって金持ちなんですね」

 

神「つまり、ヨブ君の財産が全部奪われてしまえば、

  私への信仰心は無くなって、むしろ恨むに違いないって。

  それ聞いて、めっちゃ面白そうだなと思って、

  命さえ奪わなければ、ヨブ君に何してもいいよってサタンに命じたんです」

 

イ「怖っ!」

 

ヨ「え、そんなことしてたんですか?」

 

イ「で、具体的にサタンはどんなことを?」

 

神「ヨブ君が飼ってた家畜を皆殺しにしたり、

  あと、ヨブ君の家を壊して、その影響で7人の子どもの命も奪ったり」

 

イ「めちゃめちゃ最悪じゃないですか!

 さすがにそんな目に遭ったら、ヨブさんも信仰なんてしていられないですよね」

 

神「と思うでしょ?それが、全然、信仰心が変わらなかったの!

  生まれてきたときは、裸だったから、それに戻っただけだって」

 

ヨ「あー、確かに、そんなようなことを言ったような。

  てか、あの一連、観てたんですか?

  いや、というか、そもそも神様の発案だったんですか?

  現実に起こったことかと思ってたんですが、あれはドッキリ??」

 

神「まぁ、大きくいえば、ドッキリみたいなもんかな。

  『ヨブ君ならどんな目に遭っても、信仰捨てない説』」

 

イ「『水曜日のダウンタウン』的な?!」

 

神「で、その検証にはまだ続きがあってね。

 サタンが「人間が一番大事にするのは、自分の健康だ」って言うわけ。

 だから、今度はそれを奪ってみようってことで。

 命さえ奪わなければ、ヨブ君に何してもいいよってサタンに命じたのよ」

 

イ「怖い神様だなァ。で、今度はサタンは何をしたんですか?」

 

神「ヨブ君を皮膚病にさせたんだい。

  ヨブ君、あまりの痒さでのたうち回ってたよね?」

 

ヨ「あれは、めちゃめちゃ痒かったです!」

 

イ「じゃあ、さすがに今回こそは信仰心がなくなったんですか?」

 

ヨ「いえいえ、そんなことないです。

 でも、妻には、神を恨みなさいと言われました。

 「神を呪って死んだほうがマシ」とさえ言われましたよ」

 

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《妻に嘲弄されるヨブ》

 

 

イ「・・・・・・・。奥様もなかなかスゴいこと言いますね。仕掛け人?」

 

神「違う違う。奥さんはこっち側の人間じゃないんで。

 そのリアルな発言を聞いて、私もちょっと傷いたくらいで」

 

イ「まぁ、その原因を作ったのはあなたですからね」

 

神「でも、ヨブ君は本当に偉いよね」

 

ヨ「はい。やっぱり、何があっても神様は信じますよね」

 

イ「へー、本当に何があっても信仰心を捨てなかったんですね!」

 

神「ただね。この後、ヨブ君の友人がお見舞いに来るんだけど、そこから急展開で」

 

イ「それもサタンの仕業?」

 

神「いやいや、それは僕らの仕込みじゃなくて。

  なんか最終的に、友人たちとヨブ君が議論し始めたんだよね。

  結論としては、ヨブ君が酷い目に遭ってるのは、

  ヨブ君の日頃の行いが悪いからだってことになったの」

 

ウィリアム・ブレイク《友人らに非難されるヨブ》

 

 

イ「それ、本当に友達なんですか??」

 

ヨ「さすがに僕も、友人たちのこの発言にはイラっときましたよ。

 だって、僕、何にも悪いことしてないんですよ!」

 

神「私もこれ以上は見てられなくなっちゃって。

  それで、ヨブ君のもとに向かって、とりあえず3人に天罰を下そうと」

 

ヨ「そうそう。あの時、いきなり神様が現れてビックリしましたよ。

 友人たちに天罰を下すって仰って。

 でも、なんだかんだ、友人は大切なんで。

 天罰はやめてください、って祈ったんです」

 

イ「イイ人にもほどがあるなぁ」

 

神「そんなヨブ君の姿に、私も感動しちゃって。

 それで、失った財産を2倍にして戻してあげたんだよね」

 

イ「よっ、太っ腹!」

 

神「しかも、寿命も倍にしてあげました!なんと140歳まで生きられます!」

 

ヨ「え~~っ?僕、140歳まで生きるんですか?!

 そんなには長生きしたくないかなぁ。ちょっと今、信仰心が初めて揺らぎました」

 

イ「こちらからは以上です。放送席にお返しいたします」




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