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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画

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現在、ポーラ美術館で開催されているのは、

“シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画”

ポーラ美術館では実に13年ぶりとなる日本画の展覧会です。

 

 

 

タイトルはおそらく、庵野秀明監督映画のパク・・・・もとい、オマージュでしょう。

とそれはさておき、13年前の日本画展は、

ポーラ美術館のコレクションを紹介するものでしたが。

“シン”と銘打った今回のは、ポーラ美術館の所蔵品に限定せず、

日本各地の美術館や画廊が所蔵する日本画が紹介されています。

 

テーマはズバリ『革新』。

線を用いない表現手法である「朦朧体」を発明した横山大観や、

 

 

 

近代日本画の世界において、

平安朝以来の「やまと絵」を復興させた松岡映丘、

 

 

 

さらに、戦後の日本画界を牽引した「日展三山」こと、

杉山寧、東山魁夷、髙山辰雄らの作品など、革新的な日本画の数々が紹介されています。

 

 

 

ところで、当たり前に使っていますが、

そもそも「日本画」という言葉が使われるようになったのは、明治以降のこと。

いわゆるお雇い外国人であったアーネスト・フェノロサが、

日本国内で目にした絵画を総じて“Japanese Painting”と呼びました。

これを日本人通訳が直訳したのが、「日本画」。

そう、明治以前の日本の絵師たち、

伊藤若冲も雪舟も狩野派も琳派の画家も、

自分たちが描いているものを「日本画」とは認識していなかったのです。

(「日本画」ではなく、単に「絵」と思っていたのでしょう)

 

ということで、今回の展覧会は、

フェノロサのこんな言葉からスタートします。

 

 

 

また、冒頭では奈良出身で、現在は東北を拠点に、

新しい日本画の可能性を追求する日本画家・三瀬夏ノ介さんによる絵画、

いや、もはやインスタレーション作品ともいうべき迫力ある作品も紹介されていました。

 

 

 

そう、今展では、物故作家だけでなく、

三瀬さん以外にも、多数の現代アーティストが参加しています。

それらメンバーの中には、塩を用いたインスタレーション作品で知られる山本基さんや、

 

 

 

金魚絵師として唯一無二の活躍をされている深堀隆介さん、

 

 

 

国立新美術館で大規模個展が絶賛開催中の蔡國強さんら実力派が名を連ねていました。

 

 

 

さらには、2023年のVOCA賞を受賞し、

今もっとも注目を集めているペインター、永沢碧衣さんも。

 

 

 

個人的に一番印象に残っているのは、

ともに尾形光琳の国宝《紅白梅図屏風》をモチーフにした、

杉本博司さんと山本太郎さんの作品が並べて展示されていたこと。

この2点を併せて観られる日が来ようとは。

 

 

 

他にも、鎧兜をモチーフにした作品で知られる野口哲哉さん、

『ファイナルファンタジー』シリーズのキャラデザでお馴染みの天野喜孝さん、

「もの派」を代表する現代美術界のSTAR・李禹煥さんetc・・・

「日本画」がテーマと言いつつも、

一般的にイメージされる「日本画」に限定せず、

もっと広い意味での「日本画」を描く作家が紹介されていました。

“日本画ってなんか地味じゃない・・・?”と、

思い込んでいる人にこそ、オススメしたい展覧会。

日本画の概念が変わるシン感覚の展覧会です。

星星

 

 

ちなみに。

ポーラ美術館の展示室4では、

昨年10月に約11億円で落札され話題となった、

新収蔵品のメアリー・カサット《劇場にて》が初披露されています。

 

 

 

女性が手にしている扇など、随所にジャポニスムを感じる一枚。

この絵もある意味で、シン・ジャパニーズ・ペインティングと言えそうです。

 

 

 

 

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