この夏、現代アートファンがもっとも注目する展覧会、
と言っても過言ではない展覧会“デイヴィッド・ホックニー展”が、
ついに7月15日、東京都現代美術館で開幕しました!
(注:写真撮影は一部可。展示室内の撮影は特別に許可を得ております。)
こちらは、今年86歳を迎えた現代美術界の巨匠、
デイヴィッド・ホックニーの日本では実に27年ぶりとなる大規模展覧会です。
ホックニーといえば、2018年に開催されたオークションでは、
当時の現存作家最高額である約102億円で作品が落札され、大きな話題となりました。
まさに、名実ともに世界トップクラスの現代アーティストです。
そんな彼の作品が、約130点も集結した今回のデイヴィッド・ホックニー展。
出展されている作品の中には、超貴重な初期作もあれば、
ホックニーの代名詞とも言うべき、プールやスプリンクラーをモチーフにした絵画、
1960年代から取り組む「ダブルポートレート」シリーズも含まれています。
もちろん、近作や新作も大充実しています!
その中でまず押さえておきたいのが、
〈春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年〉シリーズ。
故郷であるイギリスの春の風景を主題にしたシリーズです。
一番大きな油彩画は、幅約10mの超大作。
さらに、その周囲に飾られた12点の絵画は、なんとiPadで描かれたものです。
2010年にiPadが発売された際、いち早く手に入れ、
アプリを使用しての絵画制作に挑み始めたといううホックニー。
その柔軟な発想力や姿勢が、一流の現代美術家たる所以なのでしょう。
そんなコンピューターおじいちゃん(?)の集大成ともいうべき作品が、
コロナ禍に現在住むフランスで描いた《ノルマンディーの12か月 2020‐2021年》。
こちらもiPadで描かれた作品で、
220点の絵画を絵巻仕立てにしたものです。
その全長は、なんと約90メートル!
横山大観の重要文化財《生々流転》が、約40メートル。
つまり、その2倍以上の長さを誇る超大作です。
なお、ロックダウン中に描かれたため、
作品の中には、人物は一切登場しません。
雰囲気的には、閉塞感とかが、
漂っていてもおかしくない気はするのですが、
不思議と、ホックニーが描くと、楽しげな印象になります。
きっと本人自身が、制作や人生を楽しんでいるのでしょう。
それが絵からもひしひしと伝わってきました。
本命展だけあって、早くも多くの美術ファンの皆様で賑わっているようです。
本当にどの作品も見ごたえがあって、
そして、想像以上に、大作も多くて驚かされたのですが、
個人的には大作ではないものを、もう少し観たかったような。
ホックニーの大作は、じっくり眺めるものというよりも、
パッと見て、パッと楽しむ短期決戦型(?)タイプの作品なので、
その比率が多い分、後半は、逆に物足りなく感じてしまったといいましょうか。
某R-1の審査員風に言えば、ラストにもうひと展開ほしかったです。
ちなみに。
個人的には、ホックニーのポートレートを集めたコーナーがお気に入り。
紹介されていたポートレートの中には、
今回が世界初公開となるという新作《自画像、2021年12月10日》も。
さらに、意外なところでは、ブルーノ・マーズ(写真右)を描いたものもありました。
キャプションを目にするまで、
ジョニー・デップの肖像画かと思っていました。