■ビッグ・アイズ
監督:ティム・バートン
出演:エイミー・アダムス、クリストフ・ワルツ
2014年製作/106分/G/アメリカ
『アリス・イン・ワンダーランド』『チャーリーとチョコレート工場』のティム・バートン監督が、
1960年代アメリカのポップアート界で人気を博した「ビッグ・アイズ」シリーズをめぐり、
実在の画家マーガレット&ウォルター・キーン夫妻の間に起こった出来事を描いたドラマ。
悲しげで大きな目をした子どもを描いた、
ウォルター・キーンの「ビッグ・アイズ」シリーズは、
ハリウッド女優たちにも愛され、世界中で大ブームになる。
作者のウォルターも美術界の寵児として脚光を浴びるが、
実はその絵はウォルターの妻マーガレットが描いていたものだった。
絵は飛ぶように売れていくが、内気な性格のマーガレットは、
自分の感情を表すことができる唯一の手段である「ビッグ・アイズ」を守るため、
真実を公表することを決意する。
(映画.comより)
「2014年公開時に、「これは観なくては!」と思っていたのに、
昨年、映画のモデルとなったマーガレット・キーンが、
94歳でお亡くなりになったと報じられた際も、「観なくては!」と思っていたのに。
なんだかんだあって、ようやくここ最近、視聴することができました。
で、改めて観た率直な感想ですが・・・・・
「もっと早く観ておけばよかった!!!」
普通に面白かったです。
こんな映画のような、ドラマのような、
アート界の大事件があっただなんて!
恥ずかしながら、まったく知りませんでした。
そもそも、デビュー時の浜崎あゆみばりに、
大きな目が特徴的な子どもを描き続けた画家、
ウォルター・キーンの存在も全く知りませんでした。
映画として素直に楽しんでいる一方で、
僕も仕事柄、いろんな美術作品を紹介しているわけですが、
本当にその美術作品の作者が、その本人なのか確認を毎回取ってはいないので。
こうした贋作騒ぎ、替え玉騒ぎの片棒を、
知らず知らずのうちに担いでしまっていたかも?
もしくは、これから担いでしまうかも?
そんな不安にも若干駆られました。
評論家になるつもりは、さらさらありませんが、
審美眼に関しては、映画に登場する美術評論家くらいにはならないといけませんね。
映画内のウォルターは、むちゃくちゃなヤツなのですが、
演じるクリストフ・ワルツどこかで憎めないキャラとなっていました。
とにかく口が上手い。
映画名は『ビッグ・アイズ』なのに、全編を通じて、
ウォルターの“ビッグ・マウス”を楽しむ映画となっていました。
なお、やはりハイライトは、裁判所でのシーンです。
かなり脚色されてはいるとは思いますが、
アート映画抜きにして、コメディとして秀逸でした。
あと、個人的に裁判所のくだりで、
グッと来たのは、マーガレットと娘が手を握るところ。
なるほど。それまでの2つの場面は、伏線だったんだ!
と、思わずニヤリとしてしまいました。
アートの才能は無いのに、商才はある。
そんなウォルター・キーンみたいな芸術家は、
たぶん・・・・・というか、まぁ、実際に令和の現在もいますよね。
正直なところ、鑑賞中、何人かの芸術家が頭をチラつきました(笑)
これはすべて、アートテラー歴が長くなったせい。
2014年の公開時に観ていたら、もっと純粋に楽しめた気がします。
それだけが、悔やまれます。
(星4つ)」
~映画に登場する名画~
《永遠の明日》