日本初の公立現代美術館である広島市現代美術館。
2020年12月より、約2年3ヶ月にわたる改修工事を経て、
今年3月18日に大々的にリニューアルオープンいたしました!
外観はそんなに大きく変わっていないような気もしますが、
いえいえ、ガラス張りの多目的スペースとカフェが増築されました。
また、美術館の北側の階段に、
ひっそりある(?)井上武吉の作品《my sky hole》もリニューアル。
長いこと、水が枯れている状態だったようですが、
リニューアルに合わせて、水が流れる元の姿を取り戻しましt。
なお、広島市現代美術館の敷地内には、
井上武吉以外にも、ボテロの《小さな鳥》(…といいつつ、デカいけど)をはじめ、
18点の常設作品が設置されています。
それらも、しっかりとメンテナンスされていました。
なお、野外彫刻作品の中で、特に異彩を放っているのが、
マグダレーナ・アバカノヴィッチの《ヒロシマ − 鎮まりしものたち》。
砂地の上に、40個の何やらが並んでいます。
近づいてみると、それらが人型であるのがわかります。
実際にこれらは、人間の背中を型取りして制作されたものなのだそう。
なお、これらのオブジェが向いている先には、
広島に原爆が落とされた際に、多くの方が亡くなった宇品港があるのだとか。
写真やネットで目にするだけでは、
「ふ~ん。」という感じかもしれませんが、
実際にこの場所で目にすると、グッとくるものがあります。
広島市現代美術館で観るべき作品の一つと言えるでしょう。
それから、もう一つ個人的にお気に入りなのは、
岡本敦生さんの《Earth Call- Hiroshima(地球電話-広島)》という作品です。
一見すると、何の変哲もない石彫作品に見えます。
いや、さすがに何の変哲もなくはないですね。
不思議な形をした石彫作品です。
まぁ、形に関しては、この際おいておきましょう。
“地球電話”と名付けられたこの作品には、
なんと電話番号(082-263-0540)があります。
で、誰でも実際に、この番号に掛けることができます。
電話を掛けると、自動的に繋がる仕組みになっており、
電話越しに、作品の周囲の音を聴くことができるのです。
もし、この作品の近くにたまたま誰かがいれば、会話も楽しめます。
ただ、残念ながら、今年7月より、この作品が不調とのこと。
現在は音が聴けなくなっているようです。
ちなみに。
4月に『日経おとなのOFF』のロケで、
広島市現代美術館を訪れた際には、正常でした。
で、ちょうどこの作品の前で撮影していた時に、
まるでタイミングを図ったかのように、電話が繋がったのです。
電話のお相手は、愛媛に住む少年だったのですが、
電話がかかってきたことに、こちらもテンションが上がってしまい、
いつもの癖でインタビュートークをしたところ、電話を切られてしまいました(笑)。
冷静に考えたら、まぁ、そうですよね(反省)。
少年はまず間違いなく、そんなつもりで電話をかけてないでしょうから。
と、話をリニューアルオープンに戻しまして。
今回のリニューアルで、大きく変わったのが館内のサインです。
美術館では改修工事期間中に、「新生タイポ・プロジェクト」として、
広島市内各所で目にする、さまざまなフォントを調査していたのだそう。
例えば、「メディアライブラリー」のサインは、
市内にあるメガネ・宝飾専門店「メガネのマツイ」の店頭看板が、
また例えば、「カフェ」のサインは、
放射線影響研究所の駐車場の路面の文字が採用されているそうです。
なお、「キッズスペース」の特徴的なサインは、
バスケットボールやバレーボールといったスポーツ用品でお馴染みの、
モルテン株式会社が創業時に使っていたロゴマークを採用したものなのだとか。
館内にはかつての本社ビルの屋上看板の『モ』も展示されていました。
現代美術好きだけではなく、
フォント好きにも、たまらない美術館。
それが、シン・広島市現代美術館です。
ちなみに。
ロッカーの数字は、もっとスゴいことになっています。