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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ベン・シャーン展 ―線の魔術師―

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埼玉県立近代美術館で開催中の “ベン・シャーン展 ―線の魔術師―” に行ってきました。

こちらは、埼玉県朝霞市にある丸沼芸術の森の所蔵品の中から、
ドローイング、絵画を中心とする膨大なベン・シャーン (1898~1969) のコレクションを紹介する美術展です。

ちなみに、丸沼芸術の森と埼玉県立近代美術館がタッグを組むのは、
“アンドリュー・ワイエス展 -オルソン・ハウスの物語-” 以来。
ワイエスだけでなく、ベン・シャーンのコレクションも充実しているとは。
いつか、丸沼芸術の森にも足を運んでみたいものです。


さて、ベン・シャーンと言えば、社会派な作風で知られるアメリカの画家。
ここまで、 『社会派』 という肩書が付いて回るのは、
ベン・シャーンか松本清張か、といったくらいの社会派アーティストです。
今回のベン・シャーン展でも、社会派ぶりは健在で (?)
第五福竜丸事件を取り上げた彼の代表作 「ラッキー・ドラゴン」 シリーズや、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-出港


歴史に残る冤罪事件をテーマにした 「ドレフュス事件」 シリーズなど、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-エステラジー(ドレフュス事件シリーズより)


実に社会派アーティストらしい作品が、多数揃い踏みです。

また、アインシュタインやサルトル、レーニン、
毛沢東、ガンジーといった同時代の偉人を描いた作品群も、たくさん紹介されていました。
それらは、 「似てる!」 というよりも 「似てるwww」 といった感じの似顔絵的な作品で。
無理無理例えるならば、針すなお風といったところでしょうか (笑)

ちなみに、アメリカの政治家ゴールドウォーターを、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ゴールドウォーター


ベン・シャーンが描くと、こんな風に↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ゴールドウォーター


もはや悪意しか感じられません (笑)


さてさて、今回のベン・シャーン展の最大のポイントは、
上で紹介したような “社会派” な作品も多数展示されていましたが、
CBSテレビでドラマ化された 「ハムレット」 のための広告挿絵シリーズや、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ハムレット


《ショッピングカート》 をはじめ、街の何気ない風景を描いた作品群など、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ショッピングカート


“社会派” でないベン・シャーン作品も余すことなく紹介されていたこと。
むしろ、個人的には、 “社会派” でない作品の方に、
心が惹かれる作品が多くて、ベン・シャーンが好きになりました。
これまで、

「社会派のアートは、あまり好きじゃないんで・・・」

と、ベン・シャーンを食わず嫌いしていたのが、もったいないくらいです。
星


タイトルにもあるように、ベン・シャーン作品の最大の魅力は、線。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-錠剤を持つ手


力強くて、震えているようで、ハスキーな線。
まるで、エリック・クラプトンのギターの音色のような線です。




今回のベン・シャーン展に出展されている約300点のほとんどが、
ベン・シャーンの線だけで構成されているドローイング作品です。
そのため、会場はほとんどモノクロな世界で、一見地味な気がしますが。
耳を澄ませば、エレキギターのようだったり、三味線のようだったり、
色々なサウンドが聞こえてくるようで、意外と賑やかな印象を受けました。





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