現在、東京都渋谷公園通りギャラリーでは、
“モノクローム 描くこと”という展覧会が開催されています。
テーマはズバリ、モノクローム。
モノクロームの作品を制作する7名の作家を紹介する展覧会です。
それゆえ、もちろん会場内はモノクロームな仕上がりに。
いつになく東京都渋谷公園通りギャラリーが、
シックでスタイリッシュな雰囲気となっていました。
今回紹介されていた作家の中で、
特に印象に残っているのが、吉川敏明(1947~1987)です。
水墨画のようで、水墨画でない。
モノクロ写真のようで、モノクロ写真でない。
この独特な風合いは、木炭で描かれているのだとか。
世界で最も黒い物質として、「ベンタブラック」が知られていますが。
その黒よりも、黒いように感じました。
ブラックホール的な。
この黒をずっと観ていると、惹きつけられるを通り越して、吸い込まれそうでした。
続いて紹介したいのは、平瀬敏裕さん(1971~)。
一見すると、単なる抽象画のように思えますが。
実は、近づいてよーく目を凝らしてみると・・・・・
無数の「×」印の集積であることに気づかされます。
2001年にノートの片隅に「×」印を描いて以来、
平瀬さんは今日の今日まで、「×」印を描き続けているのだそう。
ペンのインクが無くなるまで、描き続けるため、
必然的に、作品の中に濃淡が生まれているのだとか。
なお、1点の絵を制作するのに、2~3か月を要するとのこと。
想像するだけでも、しんどくなってきました。
×ゲームじゃん!
岩手県生まれの高橋和彦(1941~2008)も、
ペンだけで緻密な作品世界を描き出しています。
58歳で本格的に絵を描き始め、生涯で約300点のペン画を残したそう。
こちらは、晩年近くに描かれたという《盛岡哀愁》一枚。
盛岡でのどういうシチュエーションなのかは不明ですが。
人と馬とがビッシリと描き込まれていました。
しかも、馬の2つの目は繋がっています。
『天才バカボン』のおまわりさんスタイルで。
さてさて、最後に紹介したいのは、
針金で立体作品を制作しているたぬきだshinさん(1999~)。
作品というほどではなくとも、
針金で人の形などを作ってみたことは、
きっと、誰にでも一度くらいは経験があるはず。
なので、針金の立体作品と聞いて、
なんとなく、こんな感じだろう、と予想していましたが。
たぬきださんの作品は、その予想の斜め上をいくものでした。
針金だけで、こんな躍動感溢れる立体作品が作れるとは!
正直なところ、針金のポテンシャルを舐めていました。
たぬきださん、そして針金、大変申し訳ありませんでした!
個人的に一番惹かれたのは、《蜘蛛魔女》。
影も含めて、実に禍々しかったです(←誉め言葉!)。
今にも動き出しそうで、目にした瞬間、鳥肌が立ちました(←誉め言葉!)。
ちなみに。
今回紹介されていた作家は7名とも男性でした。
たまたまなのか、それとも、
モノクロの作品を制作するのは、男性が圧倒的に多いのか。
その辺りがとても気になりました。
いつか白黒つけて欲しいものです。