現在、銀座の資生堂ギャラリーで開催されているのは、
『写真界のノーベル賞』と言われるハッセルブラッド国際写真賞を、
2014年にアジア人女性として初めて受賞した写真家・石内都さんの最新展。
その名も、“石内都 初めての東京は銀座だった”です。
資生堂の企業文化誌『花椿』.
そのウェブ版となる『ウェブ花椿』にて、
昨年6月から今年5月まで約1年にわたって、
「銀座バラード」という連載が行われていました。
モノの記憶を写し出す石内都さんの写真から、森岡督行さんが物語を紡ぎます。
銀座にまつわるさまざまなモノから見えてくる、銀座の、石内さんの、そしてあなたの物語です。
というその連載のために、石内さんが撮り下ろした写真の中から、
未発表を含む約30点のオリジナルプリントを紹介するのが、今回の展覧会。
ちなみに。
石内さんが初めての東京として、
銀座を訪れたのは、1962年15歳の春とのこと。
東京でバスガールをしていた叔母に、
当時、流行っていたジャズ喫茶に連れて行ってもらったのだとか。
何だか、「朝ドラ」の主人公みたいなエピソードですね(←?)。
ちなみにちなみに。
冒頭で紹介されている写真に映っているのは、
石内さんが美大生時代に画材を買いに何度も訪れた、
銀座の月光荘で戦時中に製造・販売されていた絵具なのだそうです。
さてさて、展覧会では月光荘の絵の具の他にも、
銀座天一の天ぷらや、銀座ボーグ帽子サロンの帽子といった、
銀座にまつわる写真の数々が紹介されています。
なお、それらの中には、資生堂の香水第一号「花椿」の瓶や、
“極上のオムライス”と称される資生堂パーラーのオムライスの写真など、
資生堂に関する写真も多く含まれていました。
シンプルながら、存在感を力強く訴えかけてくる。
そんな石内さんの写真たちが、暗い空間の中で、
照明に当てられ、くっきりと浮かび上がっていました。
写真1点1点もさることながら、
この空間全体が、インスタレーション作品のよう。
「銀座バラード」を読んでなかった人はもちろんのこと、
「銀座バラード」の連載を楽しんでいた人も、楽しめる展覧会となっています。
ちなみに。
今回紹介されていた写真の中で、
特に印象に残っているのが、こちらの3点。
着物のような?ジャンバーのような?
見慣れないファッションです。
その正体は、新橋芸者の方々から、
譲り受けた着物と羽織でスカジャンとのこと。
正確には、横須賀じゃないので、ギンジャンなのだそう。
今もなお、銀座から新たなファッションが発信され続けているのですね。
さて、会場の一角では、「銀座バラード」の他に、
石内さんにまつわるこんな貴重なものも展示されていました。
これらは、石内さんが写真家として、
キャリアをスタートさせたばかりの展覧会のDMです。
その開催会場に目をやると、銀座ニコンサロンとなっていました。
そういう意味でも、“石内都 初めての東京は銀座だった”のですね。