現在、横浜のKAAT神奈川芸術劇場では、
KAATで初となる写真展が開催されています。
その名も、“浅田政志展|YOKOHAMA PHOTOGRAPH-わたし/わたしたちのいま-”。
映画『浅田家!』のモデルにもなった写真家・浅田政志さんの最新個展です。
出展作品は、37点。
すべて撮りおろしの新作です。
37点のうち7点は、横浜の風景を写したもの。
そして、30点は公募で選ばれた横浜の人や家族らを撮影したものです。
それら30点の写真が、真っ暗な劇場内で、
スポットライトを浴び、浮かび上がるように展示されています。
ちなみに。
これらの写真を裏側から観ると、こんな感じ↓
それぞれに何か書いてあります。
実は、これらはモデルとなった人たち自身の言葉。
展覧会のサブタイトルにもある“わたし/わたしたちのいま”が語られています。
さてさて、浅田政志さんといえば、
ユーモアたっぷりなポートレートでお馴染みですが、
本展でもそのユーモアセンスは、存分に発揮されています。
例えば、こちらの女性は・・・・・
撮影のちょうど2日前に会社を辞め、
フリーランスとして新たな一歩を踏み出したばかりだそう。
やる気に満ち満ちた雰囲気が、ひしひしと伝わってくる1枚です。
また例えば、こちらの家族は・・・・・
大人になった子ども3人と、
念願だったお酒を飲むところを撮影してもらったそう。
なお、お母様は大のリポビタンD好きとのことで、
お酒ではなく、リポビタンDを片手に微笑んでいます。
しかも、箱を小脇に抱えて。
と、テイストは、いつもの浅田さんの写真と変わらないのですが、
質感や色味は、いつもの浅田さんの写真とは違っているような・・・。
そう、実は、今回の写真は、ただ普通にプリントしたものではありません。
日本の写真発祥の地の一つとされる横浜。
そんな横浜で、幕末から明治にかけて、
外国人へのお土産として発達した商業写真があります。
それが、「横浜写真」。
まだカラー写真がなかった時代、
モノクロ写真の上に日本画の顔料で色付けし、カラー化させたものです。
(参考)
今回、そんな横浜写真に着想を得た浅田さんは、
まず最新のデジタルカメラでモノクロ写真を撮影しました。
そして、その写真を、2人のアーティストが、
コンピューターソフトを使って色つけをしたのだそうです。
なるほど。
だから、カラー写真のようでカラー写真でない、
不思議な質感や色味の写真となっていたのですね。
ちなみに。
今回展示されていた30点のポートレートの中で、
個人的に一番印象に残っているのが、こちらの一枚。
家族のこれまでの歴史が詰まった素敵な写真だなァと、素直に思いました。
と同時に、そう言えば、自分はこれまで、
ちゃんとした家族写真を撮ったことがなかったので、
この家族がちょっぴり羨ましくなりました。
機会があれば、いつか自分も浅田さんに家族写真を撮ってもらいたいものです。
最後に、余談ですが、横浜を代表するホテル、
ホテルニューグランドのサービス係の皆様の写真を観て、思い出したのですが。
そういえば、昔、このようにホテルで、
テーブルマナーを教えてもらったことがありましたっけ。
ただ、その後の人生で一度も、
バナナをナイフとフォークで食べる機会は訪れていません。
何のために覚えさせられたのか。