昨日に引き続き、本日も北陸工芸の祭典、
“GO FOR KOGEI2023”の情報をお伝えいたします。
環水公園エリアから船で北上し、中島閘門へとやってきました。
ただのお堀のようにも見えますが、
実は中島閘門は、昭和の土木建造物として、
全国で初めて重要文化財に指定された富山市が誇るスゴいもの。
上流と下流で2mの水位差があるこの運河で、
パナマ運河と同じ方式で船を行き来させる、いうなれば「水のエレベーター」です。
そんな中島閘門のほとりには、
イラストレーター・上田バロンさんの描きおろしの新作が、
操作室の中には、渡邊義紘さんによるアール・ブリュットの作品、
クヌギの葉で作られた折り紙(折り葉?)がそれぞれ、展示されていました。
・・・・・と、ここで一つ疑問が。
この芸術祭の名前は、“GO FOR KOGEI”でしたよね?
ところが、そうは名乗っているものの、工芸には特に限定せず、
現代アートやアール・ブリュットの作家も積極的に紹介しているそうです。
それゆえ、中島閘門のほど近くにある元タクシー会社の敷地内には、
日本のKawaiiカルチャーを牽引する増田セバスチャンさんの作品が設置されていました。
さらに、この元タクシー会社では、
多数の作家の作品が紹介されていますが、
個人的にイチオシしたいのが、定村瑶子さん。
平面作品そのもの自体も、
絶妙な不穏さがにじみ出ていて、
絶妙に心がゾワゾワさせられましたが。
特に圧巻だったのが、かつての社長室をまるまる使った展示。
ただ、平面作品を展示するだけでなく、
もともとの空間に併せて、オブジェや立体作品を設置し、
社長室を一つのインスタレーション作品のように仕上げていました。
どこまでがもともと社長室にあったもので、
どこまでが定村さんの手による作品なのか?
デスクに付いていたマグネットは、社長の趣味のもの?
カーペットの一部が血の色のように赤かったのは、定村さんの仕業?
事実と虚構の境目がわからず、
フェイクドキュメンタリーの世界に放り込まれたかのようでした。
ちなみに。
定村さん曰く、社長のデスクの引き出しは、開けてもOKとのこと。
言われるがままに開けたら・・・・・
牛の生首(のオブジェ)が出てきました。
マジで怖かったです。
中島閘門エリアでアートとホラーを味わったあとは、
富岩運河の終着地で、富山市屈指のレトロな街並・岩瀬エリアへ。
こちらは、江戸時代には北前船の寄港地として栄え、
今もなお、廻船問屋の家や酒蔵などが多く残るエリアです。
それらの歴史ある建物が、GO FOR KOGEIの会場となっています。
特に印象的だった会場が、銘酒「満寿泉」で知られる桝田酒造店。
普通に社員さんたちによって、
瓶詰作業や出荷作業が行われているこの酒蔵内に、
岩崎貴宏さんやコムロタカヒロの作品が設置されていました。
なので、普通に日本酒の匂いが充満しています。
飲んでいないにも関わらず、ちょっとほろ酔い気分になりました。
日本酒の香りに包まれながら、アートを鑑賞する。
これまでにない貴重な体験でした。
ちなみに。
岩瀬エリアでもっとも印象に残っている作品が、
モンゴル出身のアーティスト・O33(Ou sansan)による《Inner》です。
光を浴びて淡く光るクリスタルが、
天井からたくさん吊るされています。
・・・・・と思いきや、その正体はクリスタルではなく。
なんと羊の腸なのだとか。
人生で初めて、羊の腸に美しさを感じました。
なので、僕の中で、9月14日は羊の腸記念日です(←?)。
ちなみにちなみに。
“GO FOR KOGEI2023”とは関係なしに、
岩瀬エリアでもっとも印象に残っているのが、
ピアット スズキ チンクエというイタリアンの店の門です。
アート作品よりも、インパクト抜群。
思わず二度見してしまいました。
富山県には何かと縁があって、
毎年のように訪れてはいるのですが。
中島閘門も岩瀬地区も、
“GO FOR KOGEI2023”を通じて、初めて訪れました。
環水公園エリアもいいですが、
富山市には、まだまだ魅力的なところがあっただなんて。
1日かけて、いや、1泊し、観光を兼ねて、
ゆったりと富山市を巡るのをオススメします。
GO FOR TOYAMA!