虎ノ門エリアで無料で美術作品が観れるのは、虎ノ門ヒルズだけではありません。
新橋から虎ノ門へと至る道路、通称「新虎通り」にも美術作品があります。
新橋から虎ノ門へと向かって進んで行く右手側、
東京電力愛宕変電所の壁に、その作品はありました。
続・無料で観れる美術百選043
タイラー・ホッブス《Two Lovers, in Structure》
作者はジェネラティブ・アートの第一人者、タイラー・ホッブスです。
ジェネラティブ・アートとは、アルゴリズムや数学的手法といった、
プログラミングを使って、偶然性を取り入れて制作するデジタルアートのこと。
NFTアートの人口が拡大したことで、
近年注目が高まっているアートのジャンルです。
あたしにはそういう難しいことはよく分からないんですけれど、
この作品もホッブスが作り出したプログラミングによって、生み出されているのだとか。
「どのサイズのどの色の円を使う」とか、
「どの色を画面の何%ぐらいに描く」とか、
「壁全体の3分の1以上は描いてはいけない」とか。
そういった様々なルールを組み合わせて、
AIにビジュアルを生み出してもらうのだそうです。
“な~んだ、AI任せなのか。楽でいいなぁ”
そう思われた方もいらっしゃるでしょうが。
ホッブスはこの作品に辿り着くまでに、
何百回と繰り返しアルゴリズムを入力したとのこと。
そこから、微調整を繰り返し、1000枚近くの絵をアウトプットしたそうです。
なお、その中からベストな1点を決めるのは、彼自身の感性。
最終的な決定権は、やはりAIでなく、アーティストにあるのですね。
さてさて、NFTアートならここで終わりですが、
東京電力愛宕変電所は現実世界に存在しています。
そう、ホッブスは、アルゴリズムが完成させた絵を、
実際にこの場所に来て、手で描く必要があるのです。
描いた円の総数は、実に約900個。
リフトを使って、上から下まで、
すべて手作業で描いたのだそうです。
おそらく、ご本人は楽しんで描いたと思いますが。
AIが作りあげた絵の通りに従って、人間が仕上げる。
若干のディストピア感を覚えました。
ちなみに。
ホッブスによるミューラル(壁画)の横には、
日本の代表するミューラル・アーティスト、SALとJonjon Greenの合作もあります。
そんなミューラルたちに影響を受けたのでしょうか。
東京電力愛宕変電所のちょうど向かいにある永谷園のビルにも・・・・・
控えめにミューラルが描かれていました。
それも、向かいからでは木で隠れて見えないところに。
バレにくいところに、ちょっとタトゥーしてみました。
そんな感じでしょうか(←?)。
<無料で観れる美術 データ>
東京電力愛宕変電所
住所:東京都港区西新橋2-20-6
アクセス:○JR「新橋駅」より徒歩10分
○東京メトロ「虎ノ門ヒルズ駅」より徒歩8分
○営団地下鉄「内幸町駅」より徒歩7分