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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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コスチュームジュエリー 美の変革者たち

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現在、パナソニック汐留美術館で開催されているのは、

“コスチュームジュエリー 美の変革者たち”という展覧会。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)

 

 

コスチュームジュエリーの世界的コレクターにして、

研究家でもある小瀧千佐子さんの貴重なコレクションを通じて、

コスチュームジュエリーの展開を本格的に紹介する日本初の展覧会です。

 

貴金属や宝石といった高価な素材を使用せず、

ガラスや合金、プラスチックなどの素材で作られたジュエリー。

それが、コスチュームジュエリー。

富や地位の象徴ではなく、ファッション性の高さを第一に作られたジュエリーです。

 

その創始者とされるのが、“ファッションの王様”ことポール・ポワレ。

展覧会の冒頭では、ポワレが妻のために制作したという、

仮装のためのマスクとブレスレットのセットが展示されていました。

 

ポール・ポワレ《夜会用マスク、ブレスレット「深海」》 制作:マドレーヌ・パニゾン、1919年、
メタリックチュールにガラスビーズとクリスタルガラスで刺繍、小瀧千佐子蔵

 

 

 

そんなコスチュームジュエリーを、

一般に広く普及させたのが、ガブリエル・シャネルです。

 

シャネル《ネックレス「ビザンチンクロス」》 制作:ロベール・ゴッサンス、1960年頃、
ガラスビーズ、メタル、小瀧千佐子蔵

 

 

彼女は、コスチュームジュエリーを”本物の偽物”と公言し、

「ジュエリー=富を象徴するもの」という概念を打ち壊しました。

 

 

 

そんなシャネルのコスチュームジュエリーの中には、カエルや蜂をモチーフにしたものも。

 

 

 

現代の目で観ても、だいぶ新鮮なので、

当時の人の目にはもっと新鮮に映り、概念が打ち壊されたことでしょう。

 

また、シャネルとバチバチのライバル関係にあった、

イタリア生まれのファッションデザイナー、エルザ・スキャパレッリ。

シュルレアリストたちと深い交流があり、

シュルレアリスムのエッセンスを取り入れたデザインで、

その地位を築いた彼女も、多くのコスチュームジュエリーを制作しています。

 

 

 

サーカスをモチーフにしたものだとか。

ロブスターをモチーフにしたものだとか。

個性的で奇抜なコスチュームジュエリーばかりでした。

しかし、よくよく観てみると、

ただ奇をてらっているだけでなく、その造りは精緻で繊細。

例えば、こちらの《ネックレス「葉」》に至っては・・・・・

 

スキャパレッリ《ネックレス「葉」》 デザイン・制作:ジャン・クレモン、1937年頃、
クリアエナメル彩メタル、メタルメッシュ、個人蔵

 

 

葉の1枚1枚に葉脈が表現されていました。

遊び心に溢れていますが、決しておふざけはなし。

全身全霊、本気で遊んで作ったコスチュームジュエリーといった印象でした。

 

なお、同時代に活躍したクリスチャン・ディオールも、

ドレスに合わせてコスチュームジュエリーを制作しています。

 

 

 

シャネルやスキャパレッリのと比べると、お上品な印象。

あくまで、ドレスを引き立てるためのジュエリーといった印象です。

 

 

さてさて、展覧会では他にも、

ミラノのブランド、コッポラ・エ・トッポや、

 

コッポラ・エ・トッポ《チョーカー「花火」》 デザイン:リダ・コッポラ、1968年、
クリスタルガラス、ガラスビーズ、ワイヤー、メタル 小瀧千佐子蔵

 

 

コスチュームジュエリーの最高峰ブランドとされるミリアム・ハスケルをはじめ、

 

ミリアム・ハスケル《ネックレス》 デザイン:フランク・ヘス、1950年代、
模造パール、シトリン、ガラスペースト、メタル、小瀧千佐子蔵

 

 

1930~40年代以降に台頭した、ヨーロッパおよび、

アメリカのコスチュームジュエリーが紹介されています。

 

 

 

どれもこれも個性的で、

1ファッションアイテムとしてでなく、

クリエイティブな美術工芸品として、鑑賞を楽しめました。

普段、装飾品は身に付けない僕ですが、

たまには、コスチュームジュエリーを身につけてみてもいいかも。

そんな気持ちになれる展覧会でした。

星星

 

 

ちなみに。

個人的に一番印象に残っているのが、

近年注目が高まっているリーン・ヴォートランという女性です。

 

 

 

彼女は、スキャパレッリのお店をわずか数日で辞めたという伝説もあるそうで。

個性的なコスチュームジュエリーばかりが展示される本展で、

モチーフがあまりにも独創的すぎて、誰よりも個性を放っていました。

例えば、写真右上のネックレスは、“脊椎動物”とのこと。

 

 

 

また例えば、写真右下2つのブローチは、

“デモ”と“もし世界中すべての男たちが”とのこと。

 

 

 

どういうモチーフ?!

もし、何気ない日常会話をしている中で、

「そのアクセサリーいいね。何のモチーフ?」と聞いた際に、

「えーっとね。“脊椎動物”」や「“もし世界中すべての男たちが”」と返されたら、

リアクションに困ってしまうこと請け合いです。

 

 

 ┃会期:2023年10月7日(土)~ 12月17日(日)

 ┃会場:パナソニック汐留美術館
 ┃https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/23/231007/

 

~読者の皆様へのプレゼント~ 
“コスチュームジュエリー展”の無料鑑賞券を5組10名様にプレゼントいたします。 
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。 
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は10月27日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

 

 

 

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