この秋、SOMPO美術館で開催中の展覧会、
“ゴッホと静物画―伝統から革新へ”に行ってきました。
なんとなーく毎年のように、どこかの美術館で、
ゴッホの展覧会が開催されている気がするので、
“あー、またゴッホ展ね”くらいに思っている方もいらっしゃることでしょう。
しかし、今回のゴッホ展は、ただのゴッホ展に非ず。
人物画でもなく、風景画でもなく、
ゴッホが描いた静物画にスポットを当てた展覧会です。
約10年という短い画業の中で、ゴッホが残した油彩画は850点あまり。
そのうちの実に約180点が静物画なのだそう。
つまり、5点に1点は静物画というわけです。
「ゴッホ=静物画」というイメージは、
あまり無かったですが、意外と静物画を描いていたのですね。
本展には、そのうちの25点が国内外より大集結!
ボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館所蔵の《赤と白の花をいけた花瓶》や、
フィンセント・ファン・ゴッホ《赤と白の花をいけた花瓶》 1886年 油彩/キャンヴァス
ボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館、 ロッテルダム
Collection Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam
クレラー=ミュラー美術館が所蔵する《麦わら帽のある静物》といった、
フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽のある静物》
1881年 油彩/キャンヴァスで裏打ちした紙 クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー
© 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
選りすぐりのゴッホの静物画を目にすることができます。
その中でも、特に目玉ともいえるのが、
今展のメインビジュアルにも使われている《アイリス》。
フィンセント・ファン・ゴッホ《アイリス》 1890年 油彩/キャンヴァス
ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)
サン=レミで療養生活を送っていた終わりの頃に、
ゴッホはアイリスをモチーフにした作品を2点描いたそうで。
こちらは、そのうちの1点です。
ゴッホの代名詞ともいえる《ひまわり》は、
黄色い背景に黄色い花瓶、そこに、黄色い花を描いたわけで、
絵全体としては、若干、黄色がくどい感じは否めませんが。
対して、こちらの《アイリス》は、
黄色とアイリスの紫が補色になるため、コントラストは抜群!
コーディネートのお手本にしたいくらいの素晴らしいコントラストでした。
さてさて、今回の展覧会では、そんな《アイリス》と、
SOMPO美術館のマスターピースである《ひまわり》が、隣り合わせて展示されています。
右)フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》 1888年 SOMPO美術館
左)フィンセント・ファン・ゴッホ《アイリス》 1890年 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・
Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)
1点1点鑑賞するもよし。
2つを観比べてみるもよし。
おそらく、最初で最後となる奇跡の競演をお見逃しなく。
なお、個人的に嬉しかったのは、《アイリス》と並べて展示する関係で、
《ひまわり》がいつもの展示ケースから取り出して展示されていたこと。
これまでに、SOMPO美術館の《ひまわり》は、
損保ジャパン東郷青児美術館時代から何十回と目にしていますが、
剥き出しの状態で展示されていたのは、僕が記憶する限りでは初めて。
貴重な機会なので、可能な限り近づいて、
普段以上にマジマジと鑑賞してしまいました。
ちなみに。
他にも印象的なゴッホの静物画は多々ありましたが、
やはり一番インパクトがあったのは、《髑髏》でしょうか。
フィンセント・ファン・ゴッホ《髑髏》 1887年 油彩/キャンヴァス
ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)
ゴッホはその生涯で、3点の髑髏を描いているそう。
こちらは、そのうちの1点です。
頭蓋骨の標本を観ながら描いたのでしょうが、
不思議なもので、ゴッホの頭蓋骨に見えてきました。
ある意味、自画像のような。
それからもう一点インパクトがあったのが、《コウモリ》。
フィンセント・ファン・ゴッホ《コウモリ》 1884年 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム
(フィンセント・ファン・
色味やライティングのせいで、
怪物感(?)が3割増しとなっていました。
『バイオハザード』に出てきそうな。
・・・・・・・と、ここまでゴッホのことしか紹介していませんが。
この展覧会では、ゴッホの静物画だけでなく、
17世紀から20世紀に描かれた静物画も数多く紹介されています。
それらの中には、17世紀オランダの巨匠ピーテル・クラースを筆頭に、
ピーテル・クラース《ヴァニタス》 1630年頃 油彩/板(樫) クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー
© 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
ドラクロワやルノワール、マネ、セザンヌ、シャガールといった、
西洋美術の歴史に名を残すそうそうたる顔ぶれが含まれていました。
もちろん、ゴッホが主役ではありますが、
それ以外のメンバーも、主役級の豪華さ。
『VIVAN』クラスの展覧会です。
┃会期:2023年10月17日(火)~2024年1月21日(日)
┃会場:SOMPO美術館
┃https://roma2023-24.jp/
┃観覧料:一般 2000円(1800円) / 大学生 1300円(1100円) ※()内は日時指定料金
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住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
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なお、〆切は11月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。