静嘉堂文庫美術館が、世田谷区岡本から、
丸の内に移って、早くも丸1年の月日が経ちました。
それを記念して、現在開催されているのが、
“二つの頂―宋磁と清朝官窯”という展覧会。
中国陶磁八千年の歴史の中の頂点といわれる2つの時代、
宋代の陶磁器と清朝の官窯磁器にスポットを当てた展覧会です。
重要文化財の《白磁刻花蓮花文輪花鉢》や、
同じく重要文化財の《油滴天目》をはじめ、
静嘉堂が誇る中国陶磁の名品の数々、
実に約90点が惜しげもなく、一挙大公開されています。
そして、もちろん静嘉堂の至宝、
国宝の《曜変天目》も公開されています。
しかも、今回の展覧会では特別に、
その《曜変天目》を乗せるための台も併せて展示されていました。
こちらの天目台は、古くより茶人たちに、
「尼崎台」と呼ばれて珍重されてきたもので。
これ自体も、南宋時代に作られた大変貴重なものなのです。
それゆえ・・・・・
普段はこれら3つの箱の中で、
厳重に保管されているようです。
なお、当然のことながら、《曜変天目》の保管はもっと厳重で。
↑これらの箱に入れた上に、さらに!
これらの箱にしまわれているのだとか。
《曜変天目》自体は、小ぶりなのに。
箱はこんなに大きいだなんて!
大きい箱と小さい箱のどちらか一つを選ぶ場合、
小さい箱を選ぶ方がよいような気がしていましたが。
大きい箱に、《曜変天目》が入っているパターンもあるのですね!
これからは、その2択で大いに頭を悩ますことになりそうです(←?)。
さて、《曜変天目》が素晴らしいのは当然として。
他にも印象的だった作品が数多くありました。
例えば、千利休が所持したと伝わる《青磁鯱耳瓶》。
胴の一部が酸化がかかり、
全体的に大きくヒビが入っています。
スマホの画面だったら、これだけバキバキだと見るに堪えませんが。
この青磁のヒビは、得も言われぬ情緒があり、思わず見入ってしまいました。
また例えば、《澱青釉鉢》。
こちらは、アイルランドのジャーナリスト、
フランシス・ブランクリーなる人物の旧蔵品とのこと。
それを知った上で観たから、というわけでは決してないのですが。
西洋の器のような印象を受けました。
ルーシー・リーの器と言われても、すんなりと受け入れてしまいそうです。
個人的な好みとしては、
清朝のものよりも、宋代のものなのですが。
本展の出展作のうち、《曜変天目》以外で、
もっとも印象に残ったのは、《緑釉鉢 「大清乾隆年製」銘》でした。
特に模様があるわけでなく、
しかも、ツルンとした肌合いなので、
パッと見は、プラスチック製なのかと思ってしまったほど。
それゆえ、一瞬素通りしかけましたが、
一応、立ち止まって観てみたところ、全体が虹色に輝いていました。
まるでホログラムのように光る姿は、ずっと観ていられました。
なお、この作品も、フランシス・ブランクリーなる人物の旧蔵品だそう。
なんだか、彼とは波長が合いそうです(←?)。
ちなみに。
こちらの『白黒薬器ブラザーズ』のように・・・・・
本展では、出展作品全部に、
キャッチなコピーが付けられていました。
気になる《曜変天目》のコピーはというと・・・・・
『宋磁のスター☆』でした。
なんか軽っ!!