昨年9月、ヌーヴェル赤羽台(旧・赤羽橋団地)に、
団地をテーマにしたURまちとくらしのミュージアムがオープンしました。
団地生まれ、団地育ちの僕としては、行かないわけにいきません!
ということで、つい先日、雪が降った翌日に訪れてまいりました。
ちなみに。
外観のみのの見学となりますが、ミュージアムの敷地内には、
もっとも一般的な団地である「板状階段室型」(我が家もこのタイプでした)と、
上から見るとY字形になっている団地「スターハウス」3棟があります。
実は、これら4棟は、団地として初めて、
2019年に登録有形文化財に指定されたもの。
歴史的に価値のある団地なのです。
自分が住んでいた団地が、登録有形文化財になるだなんて!
団地民としては、羨ましさすら感じます。
と、それはさておきまして。
こちらの建物が、ミュージアム棟です。
入場は無料で、完全予約制。
ツアー形式で巡るシステムとなっています。
見どころは何と言っても、名作団地の復元。
日本の住宅史に名を残す4団地計6戸が完全復元されています。
まず初めに紹介されていたのは、同潤会代官山アパートメント。
関東大震災の復興のために建てられたものです。
↑こちらは単身用の部屋ということで、ベッドは備え付け。
その下は収納スペースとなっています。
この部屋にはトイレやお風呂はなく、共同のものを使用していたそうです。
また、台所もないため、アパート内に食堂も完備されていたのだとか。
なお、世帯用の部屋には、トイレや台所、
さらには、簡易ながら床の間も設置されていたようです。
続いて紹介されていたのが、蓮根団地。
今では当たり前となった“食寝分離”を初めて実現させた団地です。
その最大の特徴が、ダイニングキッチン。
椅子に座って食事をするという、
当時としては斬新なスタイルを提案すべく、
ダイニングテーブルは備え付けだったそうです。
なお、引っ越しの際に、このテーブルを持っていってしまう人も少なくなかったようで。
のちに、チェーンで固定されるようになったのだとか。
3つ目に紹介されるのが、晴海高層アパート。
「日本住宅公団」初の10階建となる建物で、
ル・コルビュジエの弟子だった建築家・前川國男が設計しました。
ちなみに。
廊下のある階と、無い階があったようで。
例えば、8階の部屋に行くには、
一度エレベーターで9階まで上がり、
その廊下を渡って、階段で1つ下に下がる必要があったとか。
なんと面倒なのでしょう。
面倒といえば、こんなものも。
廊下の壁に電話が掛けられています。
実は、晴海高層アパートが建設された頃は、
まだそこまで電話が普及していなかったのだそう。
それゆえ、この電話は上下の階の世帯と共有していたのだとか。
着信があった場合は、室内にあるブザーが鳴るそうで、
外へ出て(階によっては、階段を昇り降りして)、電話に出ていたそうです。
なお、廊下のある階は、廊下のスペース分だけ狭いそうで。
家賃は今の価格にすると、17万円程度だったとのこと。
廊下の無い階の家賃は、約25万円だったそうで、
社長や経営者といった当時のセレブが住んでいたようです。
ちなみに。
セレブ部屋のほうは、広さを最大限に確保するため、
このような形で、配管が剥き出しになっていたようです。
そのため、上の階の住人が、トイレを流すと、
その音がダイレクトに部屋中に響き渡ったのだとか。
約25万円もの家賃を払って、そんな目に遭うだなんて・・・。
さて、最後に紹介されていたのが、多摩平団地テラスハウス。
こちらの団地は、なんと2階建て!
しかも、庭付きだったそうです。
ミュージアムで紹介されていた団地の中なら、
住むのであれば断然、多摩平団地テラスハウスでした。
なお、ミュージアムでは他にも、団地にまつわる様々なアイテムや、
旧東鳩ヶ谷団地で親しまれていたという、
後に世界的彫刻家となる流政之のファニチャーなども展示公開されています。
ミュージアムでいろいろな団地を観ていたら、
久しぶりに、団地に住みたくなってきました(笑)。
団地に思い入れのある人はもちろん、
建築やライフスタイルに興味がある人も楽しめるミュージアムです。