今年2024年は、いわさきちひろが亡くなって、ちょうど50年目となる節目の年。
そんな特別な2024年の1年間をかけて、
東京と安曇野のちひろ美術館それぞれの館で、
“こどものみなさまへ”と題し、3つのテーマで展覧会が開催されます。
安曇野ちひろ美術館で現在開催されているのは、
「遊び」をテーマにした“あ・そ・ぼ”という展覧会です。
(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)
「遊び」がテーマであるだけに、展示室に入る前からすでに、
本展のディレクターを務めるアートユニット・plaplax(プラプラックス)による、
楽しげな遊具の数々が設置されていました。
当然ながら展示室内にも、
遊べる仕掛けが多数設置されています。
しかも、これらは単なる遊具ではなく。
こちらの《絵を観るための遊具》に乗ったり覗いたりすることで、
ちひろ作品をいつもとちょっと違った視点で鑑賞することができます。
子どもはもちろん、大人も楽しめる仕掛けの数々。
子どもたちに優先的に遊んでもらいつつ、
空いている時に、大人の皆様も楽しみましょう。
ちなみに。
僕が取材した日に、子どもたちに断トツ人気だったのがこちら↓
手前)plaplax《絵の具の足あと》 2018年
一見すると、ただの白い床ですが、
実はこの上を歩くと、それに合わせてピアノの音が鳴ります。
さらに、歩いた軌跡に合わせて、
ちひろ作品を彷彿とさせる水彩絵の具のにじみが足元に広がります。
最初は恐る恐る歩いていた子どもたちも、
次第に楽しくなってきたようで、走り回っていました。
一般的な美術館であれば、館内で走り回るのはNGですが、
子どもファーストなちひろ美術館は、子どもが走り回るのも全然OK!
ここでしか観れないであろう光景に、思わずほっこりしました。
なお、奥の壁に設置されているのは、
絵本『あめのひのおるすばん』(至光社、1968年)のこちらの場面をモチーフにした作品です。
モニターに指で触れると、それに反応して絵や文字が書けるという仕掛け。
『あめのひのおるすばん』の女の子のように、
雨の日の窓に落書きをする気分が味わえます。
ちなみに。
本展には、発達心理学や発達認知神経科学専門で、
京都大学准教授の森口佑介さんが全面協力しており、
随所に、発達心理学や認知科学の視点でのちひろ作品の解説があります。
例えば、こちらの「まきばの牛」という一枚。
牛を前にして戸惑い、
ちょっと怖がりつつも、興味はある。
そんな子どもたちの様子が描かれています。
何より特徴的なのは、その色遣い。
牧場を描いたものでありながら、
背景に茶色や緑でなく、赤が使われています。
心理学の研究によると、赤は「回避」を意味するとのこと。
それゆえ、子どもたちの接近したいけど、
回避してしまう心情を表現しているように考えられるそうです。
なるほど。ちひろ作品は科学的にも理に適っているのですね。
なお、子どもは平面の絵画を集中して観るのが難しいとのことで、
森口さんのアドバイスにより、一部の作品の近くには、
絵に描かれている実際のアイテムも展示されています。
立体物があることにより、絵の世界に入りやすくなるとのこと。
それらのアイテムの中には、こんなものもありました。
ちひろの絵からそのまま飛び出したかのようなぬいぐるみ。
・・・・・と思ったら、こちらはこの春からの、
ミュージアムショップでのちひろグッズの新商品とのこと。
ムニュムニュした触感が特徴的なその名も「むにゅぐるみ」です。
S・M・Lの3サイズがあり、くま以外にも、
うさぎやアヒルの「むにゅぐるみ」もありました。
しかも、サンリオとのコラボ商品とのこと。
曜変天目ぬいぐるみの次は、「むにゅぐるみ」人気がくるかも?!