横浜市で3年に1度開催される現代アートの国際展覧会。
それが、横浜トリエンナーレです。
第8回目となる今回は、わけあって、
2020年以来、4年ぶりの開催となっています。
しかも、過去数回の“ヨコハマ”表記でなく、
2008年以来の漢字での“横浜トリエンナーレ”です。
さらに、これまでは“横浜トリエンナーレ2008”や、
“ヨコハマトリエンナーレ2020”と開催年と併せていましたが、
今回は初めて“第8回 横浜トリエンナーレ”と回数での表記となっています。
過去7回の“横浜トリエンナーレ”とは違う。
そんな静かな決意のようなものを感じました。
さてさて、今回の総合ディレクターを務めるのは、
2020年に横浜美術館館長に就任した蔵屋美香さん。
アーティスティック・ディレクターを務めるのは、
中国のリウ・ディン(劉鼎)とキャロル・インホワ・ルー(盧迎華)の2人です。
テーマは、「野草:いま、ここで生きてる」。
『狂人日記』や『阿Q正伝』で知られる中国の小説家、
魯迅が1927年に執筆した詩集『野草』に由来するものとのことです。
ちなみに。
「野草」に対して、日本人はなんとなく、
野に咲く可憐な草といったような印象を抱きがちですが。
中国人にとっての「野草」は、日本でいう「雑草」に近いニュアンスがあるのだとか。
それゆえ、踏まれても踏まれてもビクともしないような、
生命力の溢れるアーティストが全体的に多かった印象を受けました。
なお、参加アーティストは全94組。
そのうち日本初出展は32組です。
メイン会場となるのは、過去回同様横浜美術館ですが。
作品があまりにも多いため、明日の記事でまとめてそれらは紹介するとしまして。
本日はメイン会場である横浜美術館以外に設置された作品の数々をご紹介いたしましょう。
まず1つ目の会場は、BankART KAIKO。
約100年前の帝蚕倉庫の一棟を復元した建物内にあるアートスペースです。
こちらの会場で特に印象に残っているのは、
パピーズ・パピーズによるこちらの作品でしょうか。
壁一面に設置されているのは、コロナ禍ではお馴染みだったアレ。
手をかざすと、自動的に消毒液が噴射されるアレです。
作者のパピーズ・パピーズの母は医療従事者で、
作者本人も幼い頃に脳腫瘍の手術を受けた経験があるのだそう、
そのため、普通の人よりも、手指消毒器を身近に感じており、
これまでにも自身の作品のモチーフとして使うことが多々あったそうです。
それだけに、コロナ禍で手指消毒器が世に浸透した際には、
まるで自分の作品が世界に広がったかのような錯覚を受けたとか。
それから、もう一つ印象的だったのが、
本展の最年少作家、25歳のミャンマーのアーティストです。
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作品も十分インパクトありましたが、
それ以上にインパクトがあったのが、彼のお名前。
ピェ・ピョ・タット・ニョ。
サンリオの新しいキャラクターかと思いました。
BankART KAIKOとは道路を挟んだ場所にある旧第⼀銀行横浜支店も会場の一つ。
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こちらでは、この20年ほどの間に東アジアで活発化したという、
カフェや古着屋、 低料金の宿泊所などを運営する人々の動きが紹介されています。
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中でも個人的に印象に残っているのは、山下陽光さん。
彼は大井競馬場のフリマに足繫く通っているようで、
そこで破格の値段で販売されていた子どもの絵を購入し、
それをもとにした服を手作業で仕上げています。
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なお、これらは期間中の数日だけ、
実際に購入することが可能なのだそう。
フリマで購入したといえば、こんなものも。
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こちらも大井競馬場のフリマで見つけものだそうで、
1982年8月24日に製造されたサントリーのミネラルウォーターとのことです。
3本100円で購入したとのこと。
もし、製造日と同じ1982年8月24日生まれの人が、
期間中に現れた3本とも無料でプレゼントする予定なのだとか。
誕生日がこの日の方、あるいは、この誕生日の知り合いがいる方、
是非、急いで横浜トリエンナーレに足を運んで(運ばせて)くださいませ。
なお、山下さん曰く、「実際に飲めるかは保証できない」とのこと。
ゲットされた方は、眺めてお楽しみくださいませ。
それともう一人、印象に残っているのは、松本哉さん。
彼はアーティストとして活動をする一方で、
高円寺で「素人の乱」なるリサイクルショップを経営しているそうです。
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ただ、普通のリサイクルショップとは違い、
値段の付け方(価値の付け方)はかなり独特。
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デカめの灰皿にいたっては、『武器』として販売されていました。
そう考えると、それで980円とはリーズナブルな気さえしますね(←?)。
また、会場以外にも、横浜の街なかにアートが飾られているパターンも。
クイーンズスクエアの2階には、写真家の北島敬三さんと、
現代美術家の森村泰昌さんがタッグを組んだ《野草の肖像》が展示されています。
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今回、森村さんが扮したのは、魯迅なのだとか。
魯迅のビジュアルのイメージがないので、
どこぞのホテルの料理長にしか見えませんでした。
そして、こちらは北島敬三さんによるポートレート。
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白いシャツ姿の人物を継続的に撮影する「PORTRAITS」シリーズのうちの1枚です。
1993年に撮影されたこの写真の真向かいには、
10年後の2003年に撮影された同一モデルの写真が展示されていました。
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顔を見れば同じ人物であることはわかるのですが。
まぁ、その・・・・・なんというか・・・・・頭の部分が・・・・・。
野草のように生えてほしい!
そういう意味がタイトルの《野草の肖像》に込められているのでしょうか。
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