現在、21_21 DESIGN SIGHTで開催されているのは、
“未来のかけら: 科学とデザインの実験室”という展覧会です。
本展のディレクターを務めるのは、
先端技術と人の関わりを探求するデザインエンジニアの山中俊治さん。
展覧会では、山中さんがこれまでに手掛けたプロダクトの数々、
例えば、2002年に発表された小型ヒューマノイドロボット「morph3」や、
2020年にグッドデザイン賞を受賞した、
家庭用ロボット掃除機「ルーロ」なども紹介されています。
個人的にもっとも印象に残っているのは、
カンガルーをモチーフにしたロボット「CanguRo」。
普段は主人に寄り添うパートナーロボットながら、
移動する際にはトランスフォームし、乗り物になるのだとか。
未来の機械生命体を目指して、開発されたプロダクトなのだそうです。
SF映画のような世界が、もうここまで完成しているのですね!
SF映画のようだったといえば、「emblem」というプロダクトも。
こちらは災害時の使用を想定し、
研究開発が進められているものだそうです。
身体に装着し、飛行することができるだけでなく、
これ自体が、無人航空機としても機能するのだとか。
つまり、救助が必要な人のもとに飛ばせば、
もし、救助者がいなくても、安全な地に移動させることができるわけです。
なお、こちらは山中さんの研究室の研究員・村松充さんと、
JAXA、ミズノが共同してデザインの検討が進められているとか。
展覧会では他にも、山中研究室のメンバーが、
様々な人と協働し、生み出してきたプロダクトの数々が紹介されています。
2008年よりスタートした「美しい義足」プロジェクトや、
あえて外観を生物っぽくしていないコミュニケーションロボット「JAC」など、
科学とデザインが融合した印象的なプロダクトはいろいろとありましたが。
もっとも印象に残っているのが、「Apostroph」というロボットです。
生物は簡単にできるものの、ロボットでは意外と難しい動き。
それは、立ち上がるという動作なのだそうです。
こちらの「Apostroph」は、それに挑んだロボットで、
人の手を借りることなく、自発的に立ち上がることができます。
その立ち上がる様子が、こちら↓
あー、起きるの面倒くさい、、、
でも、このまま寝てるわけにいかないし、、、
よしっ!起きるか!
そう言って、両足を上にあげて、その反動で起き上がる。
あの動きに近いものがあります。
一気に親近感が湧きました(笑)。
ちなみに。
展覧会では、山中さんや山中研究室が生み出したプロダクト以外にも、
専門領域が異なる7組のデザイナー・クリエイターと科学者・技術者のコラボも紹介。
その中でとりわけ印象に残っているのが、
村松充(Takram)+Dr. Muramatsuによる《場の彫刻》です。
モニターの下に、手をかざすと、
それに反応にして、画面上に腕が現れます。
さらに、その腕に光の粒が引き寄せられ、
粒子の軌跡がまとわりつくように動き続けるというもの。
軌跡によっては、こんな姿になる場合もあるのだそう。
浦飯幽助のように霊丸が撃てる日が、
そう遠くないうちに来るのかもしれません。
それからもう一つ興味深かったのが、
A-POC ABLE ISSEY MIYAKE+Nature Architectsによる衣服です。
A-POC ABLE ISSEY MIYAKEによる熱を加えると、
布が収縮するスチームストレッチ技術という最先端の技術と、
Nature Architectsが開発した自動で服の折り目を設計する技術を融合。
それにより、1枚の布をほぼ縫製することなく、
折り紙のように平面が立体となる服作りが可能になったそうです。
そうして作られたのが、こちらのブルゾン。
一般的には多数のパーツを要するブルゾンですが、
こちらのブルゾンは、たった1枚のパーツから作られています。
しかも、ほぼ縫製することなく。
それだけ最先端の技術を使いながらも、意外と、ファスナーはそのままでした。