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カルダー:そよぐ、感じる、日本

昨年11月にオープンした麻布台ヒルズギャラリー。

その開館第2弾として開幕したのが、

“カルダー:そよぐ、感じる、日本”という展覧会。

東京では実に約35年ぶりとなるアレクサンダー・カルダーの大規模個展です。

 

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こちらは、ニューヨークのカルダー財団理事長で、

カルダーの実の孫でもあるアレクサンダー・S・C・ロウワーのキュレーションによる展覧会。

同財団が所蔵する1930年代から70年代までの作品を紹介するものです。

 

会場に入るとまず目に飛び込んでくるのは、1968年作の《Fafnir》

ゲルマン神話に登場する邪悪なドラゴンの名が付けられた作品です。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

実は、この作品とよく似た作品が、

名古屋市美術館の入り口近くに設置されています。

あちらの名前は、《FafnirⅡ》

そう、《Fafnir》はお兄ちゃん的存在(?)なのです。

 

その向かいに壁一面に展示されていたのが、

学生時代のカルダーによって描かれたドローイング群。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

ニューヨークの動物園にいる動物たちが描かれています。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

墨で描かれているのも要因の一つでしょうが、

全体的にどことなく、和を感じるものがありました。

『北斎漫画』や、鍬形蕙斎の『鳥獣略画式』を彷彿とさせるものがあります。

また、動物を躍動感を表現したシンプルな線は、

のちにカルダーが生み出すモビールを予感させるものもありました。

 

ちなみに。

貴重な初期の作品と言えば、こんなものも。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

1930年頃に制作された《Arc V》という作品です。

現存するカルダーの立体作品としては、初期も初期のもの。

1931年に展示されて以来、一度も公開されたことがなかったのだそうです。

人前に姿を現すのは、ほぼ1世紀ぶり!

ハレー彗星よりも貴重な機会です。

 

なお、出展作品は全部で約100点。

それらの中には、カルダーの代名詞“動く彫刻”モビールはもちろん、

“静止した抽象的な作品”スタビル、大型の彫刻作品も多数含まれています。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

また、何より興味深かったのは、油彩画も多く含まれていたこと。

彫刻家のイメージが強いカルダーですが、

その生涯を通じて多くの平面作品も残していたようです。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

ジョアン・ミロのような作品もあれば、

サイ・トゥオンブリーのような作品もありました。

さらには、岡本太郎のような作品も。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

立体作品が素晴らしいのは当然として、

初めて目にしたカルダーの平面作品も、予想外に素敵でした。

立体と平面の二刀流。

それが、アレキサンダー・カルダーです。

 

そして、そんなカルダーの作品の魅力を、

最大限に高めていたのが、本展の空間デザイン。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

ニューヨークを拠点にする建築家、

ステファニー後藤さんが手掛けたそうで。

桜の木や黒く染めた和紙など、

日本の伝統的な素材を使用した空間と、

哲学性を帯びたカルダーの抽象的な作品が、絶妙に調和していました。

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

この光景が観られるだけでも、

訪れる甲斐は、十二分にあり!

日本で観られる史上最大にして、

至高のカルダー展といっても過言ではないでしょう。

なお、今回のカルダー展の期間中には、

『FREE MONDAY NIGHTS』なるものが設けられているそうで。

期間中の第4月曜日は、なんと夕方16時から18時まで入館無料なのだとか!

その取り組みも併せて、3ツ星です!

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ちなみに。

数ある出展作品の中で一番印象に残っているのが、《Tines》

 

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All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York

 

 

カルダーのモビールの中では珍しいタイプのもので、

使われなくなった農具や貝殻などが使われています。

SDGsですね。

しばらく眺めていたら、トーナメント表のようにも見えてきました。

どうやら試合数が多いのは、ワイングラスの破片のようです。

 

それからもう一点印象に残っているのが、《Un effet du japonais》とういう作品。

 

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こちらは、しばらく眺めていたら、

ポージング(?)といい、左右のヒラヒラ具合(??)といい、

キレキレのダンスを踊る真島茂樹さんのようにも見えてきました。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。合掌。

 

 

 

 

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